嘉彦エッセイ


第122話(2014年08月掲載)


          




『言語信号』


私たちの思考は、言語信号を受けて大脳が思考を開始し、側頭葉にある情報を組み合わせていろいろな判断、
結論を表示する。これが大脳生理学・・・とVEのアイデア発想で学んだ。良い言語信号を受けると良い組み合わせの思考が回る。
たくさんの言語信号を受けると色々な思考が巡る・・・のだそうだ。

私たちの思考が始まる信号は主として耳と目から入るが、他の器官からも判断を求められる信号に変わるものがある。
私は今この文章を書いているが、気温は33℃、やはり熱い。神経が察知して、じりじりと汗を出して体を冷やそうとする。
意識としても暑さ対策に動き始め、もう扇風機は止めて、そろそろエアコンに変えたらと神経が信号を送ってくれて、
室内温度コントロールをエアコンに頼ろうと判断する。

肌は熱や湿気を感知し、舌は食べ物、飲み物の温度や甘い辛いの情報を大脳に送り、対応を脳が指示する。
コミュニケーションや会話は耳や目から入ってきて大脳に送られる。必要に応じて対応を思考し行動に移す。
こうしてすべて身体が受け止める信号から思考が始まるのだ。



地球温暖化が原因なのか、異常気象が続いている。つい先日までの豪雨、
2011年の大震災やその後の大島の山崩れなどから、警戒情報や避難方法や行動が行き届き、
あの3日で2か月分の降雨量を記録した集中豪雨でも、今年は僅かな被害で済んだ。
僅かでも家を流された当事者には大惨事と言うことになる。

雨や梅雨明け後の猛暑は本当に異常だ。こちらも世間の動きを探り行動を変える。
何年か前に比べたら敏感になっていると思うし、対策も多様化してきていて、どこどこで気温が何度、
熱中症で何人が搬送されたなどの情報や、「水分を多くとってください」とTVが言えばペットボトルを手から離さなくなる。

そんなに我々は敏感になってきているのに意外と報道に気になるところがある。朝のニュースに使った映像がその日の夜も、
時に翌朝まで使われたりする。濁流に流される家。何度も何度も視る。インタビューに答える人が何回も同じシーンで報道される。
昨年の京都の渡月橋の映像など何日視たか。
初めて視る・聴く人は今その状態と思う。なぜ撮影した時刻・場所を入れておかないのだろうか。
その映像から徐々に災害が収まってくるならまだ良いが、悪化してくる状態だったら、
我々の警戒や対策の判断が誤っていくことになる。
報道する側ももう一歩踏み込んで改善しなければならないと思う。世の中はその情報で動いているのだから。


全く災害と異なるが、消費税が上がった時のニュースで、街角インタビュー。
「上がってどうですか?」「やはり高くなったと実感してます。困ります」消費税が上がって喜ぶ人がいると思うのかと
NHKやTV局に言いたい。こういう政策は部分不適だが全体最適を求めて消費税アップを図っているのであるのだから、
全体最適な部分も同じように情報をキャッチしてアピールするなり、政府に税金をしっかり、
正しく使ってもらうよう呼びかけるなりしないと、国民がみんな消費税アップを反対しているような錯覚報道になる。

また街角インタビューで意見を聞くのは良いが、集団的自衛権のような賛否が分かれたりするテーマの報道も、
反対の人ばかりの意見を流せば国民は多くの人が反対しているんだと思うし、
賛成の人の意見を流せばそのように受け止められる。どちらとも判断できない国民が多かったのに、
街角インタビューではほとんどその意見は拾わない。報道側が某局の様に左掛かっていれば反対意見の数を多く報道する。
これってあまり納得できないと思うがいかがか。信号を受けてどう判断するかは一人ひとりの思考。
信号に色を付けてしまったら、判断を無理やり誘導することになる。



少し話が違うが、言葉で印象が変わる話。安倍総理が海外を歴訪して相手国とのディスカッションや記者会見、
インタビューでヨーロッパを欧州と言う。イギリスを英国と言う。アメリカを米国と言う。
なぜカタカナ呼び方をしないのだろうか。漢字読みって、古い国の感じを私はするが皆様はいかがか。
古い国の感じ⇒古い国のイメージと描いたらまたニュアンスが異なってくる。
言葉には同じ意味の言葉でもいろいろニュアンスがある。世界が英語化している今日。
企業でも朝礼を英語でやっている会社とかがある時代。もうイギリスでありアメリカであり、
ヨーロッパと言うべきと思うが皆様いかがか?


これは原稿を書く人の問題かもしれないが、読む人が欧州をヨーロッパと読めば良いだけの事かも知れない。
世の中はカタカナ(英語)の時代。いっそのこと、Americaと原稿に書いたらいかがでしょう。



人間の思考や行動が言語信号で始まる。この原理からすると、最新の正しい情報を送らなければならないし、
事実や実態を偏らさず送る必要がある。


そうそう、偏らさず…で思い出したが、我々企業人。大半がサラリーマン。
上の人に良く受けたい心理は私もサラリーマンだったからよく分かる。

ある会社で海外調達をやれ!とトップが指示を出し、国内企業から海外企業に切り替えて成果を報告する。
しかし、納期遅れや品質不良のデメリットを数値化できないので単価が下がったことばかり言う。
社長は「俺の指示は間違いはなかった」と自己満足に陥る。

情報は次の行動を引き出す重要な信号だ、最後の企業の話は判断を誤らせた報告者は犯罪者に近いが、
情報の偏りを見抜くべきは社長だったかもしれない。


やはり客観的にものを観ることのできる情報に始まって、
効率的に判断からアクションに繋がるコミュニケーションのあり方を考えないといけない!が今月の主張でした。

話があっちこっち行ってしまいました。また来月。





    (株)VPM技術研究所 所長 佐藤嘉彦 CVS-Life, FSAVE