障害解決

100M イーサネットにおける障害解決

 このページでは、100M イーサネット特有の問題について説明します。

コリジョンドメイン
イーサネットのジャバーとの非互換
自動判別の優先順位と選択
ケーブルの非互換


コリジョンドメイン

 10M イーサネットから 100M イーサネットへの変更で、もっとも大きな変更は一つしかなく、それはコリジョンドメインが小さくなったことです。 技術的には、コリジョンドメインのサイズはどのイーサネットでも同じ、256 ビットです。 線上では、100 Mbps を 10 倍したら 10 Mbps と同じ長さを占めることになります。ですから、100 Mbsp のコリジョンドメインは、 物理的には 10 Mbps の十分の一となります。このことは、10 Mbsp では4つの HUB をカスケードすることが許されているのに対し、 100 Mbps ではリンクセグメントの接続については1つ(または2つ)しか使えないということを意味しています。 つまり、リンクセグメント接続に使用できる蓄積転送ブリッジ、スイッチ、ブリッジ、ルータの数が1つ(または2つ)ということです。 接続機器のページに詳細を説明しています。 従って、ネットワーク上に伝播遅延の問題を見つけたら、HUB をカスケードし過ぎていないか調べるべきです。 10 Mbps イーサネットのフレーム破壊のところで説明したように、破壊されたフレームは破壊のパターンによってある程度原因を推測できます。 しかし、ネットワーク上に HUB やスイッチがあると、これらの破壊パターンを見分けるのは紛らわしいことになります。

 多数の HUB 販売業者が、スタッカブル HUB を販売しているということは注意すべき事柄です。 スタッカブル HUB では1つのスタック中に複数の HUB がバックプレーンを通して接続されているというで、 これを伝播遅延という観点から考えると、複数のスタッカブル HUB は、一つの HUB として取り扱わなければなりません。 しかし、複数の HUB が外部の 100BASE-TX や 100BASE-T4 や 100BASE-FX を通じてカスケードされているということは、必ず問題になるでしょう。 これらの 100BASE 標準については、100M イーサネットの紹介で述べられています。


イーサネットのジャバーとの非互換

 100 Mbps イーサネットには他にも潜在的な問題があります。仕様がいくつかありながら、どれも RJ-45 のジャックを使うことです。 10BASE-T や他のネットワーク技術と同様、100BASE-TX と 100BASE-T4 が RJ-45 を使っているにもかかわらず、 IEEE 802.3 は、どのネットワーク技術が使われているかという自動判別を規定しています。 悪いことに、その機能はオプショナル仕様となっています。IEEE が定めた自動判別機能を実装していない機器を使用しているなら、 信号に互換性がないことによって、接続が妨げられます。さらに、絶え間なく流される TX のアイドル信号が「ジャバー」と誤認識され、 ネットワークの効率が落ちます。

 異なるイーサネットが異なる信号を使うことが考えれば、このジャバーがいつ起こるかは不確かであることがわかるでしょう。 データが交換されないときでさえ、互換性のないイーサネットが適切に接続されていると考えてしまう可能性があります。 RJ-45 によって HUB に接続されているイーサネットは、リンクの完全性を確認するためにリンクテスト信号を使用します。 この信号は、自動判別機能が使われていなければ、すべてのイーサネットで同じです。 自動判別のプロトコルは、イーサネット実装を判別するために、この信号が変形されたものを使うのです。

 100BASE-TX と他のイーサネットとの間で、互換性がないことによるジャバーが起こったら、散々な結果になるでしょう。 100BASE-TX が絶えずアイドル信号を送り続けるからです。 100BASE-TX には害を与えませんが、このアイドル信号のせいで、10BASE-T や 100BASE-T4 のセグメントはビジー状態になるでしょう。 一方、802.3 には、100M イーサネットのリピータはジャバーの制御をすべきであるという規定があります。 40000 〜 75000 ビット以上の情報が続いたポートは分離するというものです。リピータがジャバーを出しているポートを分離するならば、 ネットワーク上に 100BASE-TX が接続できないという状態が改善されるでしょう。


自動判別の優先順位と選択

 ステーションもリピータも、両方が 100BASE-TX や 100BASE-T4 や 802.3 の自動判別機能をサポートしているならば、 100BASE-TX ではなく、100BASE-T4 が選ばれます。100BASE-TX ではカテゴリ5のケーブルが必要なのに引き換え、 100BASE-T4 ではカテゴリ3でよいからです。したがって、100BASE-T4 がデフォルトとなります。

 ケーブルが UTP-5 であることがわかっているならば、自動判別機能をオフにして、可能な限り 100BASE-TX を使う方が効率的です。 100BASE-T4 は3対の線を使ってデータを分割し、再構築するので、TX に比べて余分な時間がかかります。 また、100BASE-TX と 100BASE-FX は、8B6T ではなく、4B5B を使うので、より効率的です。 100BASE-TX か 100BASE-FX なら全二重で使える可能性があります。これはまだ 802.3 で規定されていませんが。

 100BASE-TX はデータ通信をしていないときも、アイドル信号を送出しています。 ですから、バッテリー駆動の場合は、送信すべき実際の情報があるときには送信をするだけでよい100BASE-T4 を使う方がよいと IEEE 802.3 ではほのめかしています。


ケーブルの非互換

 100M イーサネットの最後の問題はケーブル仕様の違いです。従来のイーサネットでは、10BASE-2 と 10BASE-5 とを取り違えるようなことはありませんでした。 100M イーサネットでは、ステーションとコネクタ間の接続が TX の 32.25 MHz 信号をサポートしてるのか、 T4 の4対が必要とされているか、といったことを確かめるのに特別な注意が必要です。 ケーブルや対を調べるために、たくさんのテスタがあります。