嘉彦エッセイ


第86話(2011年08月掲載)


          
 



『やればできる』



 イタリアはインテルで活躍するサッカーの長友佑都選手が、最近マツダのCMに出演し、小型乗用車の燃費がハイブリッドでもないのに、内燃機関のエンジンで30Km/ℓも走るという宣伝に「遣れば出来るじゃん」と発している。凄く響きが良い。

 7月18日未明、同じくサッカーのなでしこチームが、ワールドカップ決勝で今まで勝ったことのない米国に、PK戦にまでもつれたがついに勝利した。「遣れば出来るじゃん!」だ。

 先月まで震災について何度かこのエッセイの場を借りて主張してきた。先月も原発について触れた。文末で原発反対の人は節電をして原発の世話にならないようにしなさい。自分で自転車をこいで発電しなさいとまで書いた。

 言うのは簡単なので、自分(原発反対派ではないが)も実は挑戦してみていた。自転車をこぐことではなく、節電に。

身近な消灯などは序の口、トイレの便座カバーは(便座の保温効率を良くして消費電力を微々たることだが少なくする)注意して常に蓋をする。パソコンは使わない時には電源を切る(当たり前だがつい点けっぱなし)、食洗器を使わないで済むように、あらかじめ使用済みの食器は外周まで水につかるように付けておき、洗い易くしておく・・・などいろいろ工夫を凝らしてきた。

最たる節電はエアコンだ。7月に入って猛暑の連続、しかし我が家にある5台のエアコンはまだ1台も稼働していない。多分一度スイッチを押したら、今日も、今晩も、となってしまうはず。それにはそれなりの工夫もして猛暑に耐えている。

 我が家は両親と同居であった(今も母は同居)ので、建築時から雨戸を付けていた。最近年老いた母でも操作できるようにと、引き戸からシャッターに変えた。そのシャッターが、まず節電を手伝ってくれている。シャッターは一番下に降ろしきると全部閉まる(当然)が、先端が下に着いた時は実は個々のシャッターの間が開いていて10mm弱の隙間ができる優れモノに一昨年変えた。そこから外が見えるほどの隙間が空くのだ。

実際の使用では、夕方まではまず網戸で過ごし、夜が更けてくるとシャッターを降ろし隙間状態にして網戸で虫をよける。この隙間が通風を確保してエアコンの登場を阻止している。

しかし暗くないと寝れない性分の私は自分の寝室では、やはり隙間を残した状態にして風通しを確保し、アイマスクをして寝る。これで暗くする機能は十分確保できる。少々難敵は音だ。外の喧騒にやられることがあるが、まあ我慢と言うより気にしなければどうにか寝れるもんだ。こんなシャッターのお手伝いをもらいながら未だエアコン使用0を続けているのだ。このシャッターは節電が必要になるかと予測をしたわけではないが優れモノだ。

早くも結果は表れた。7月の検針報告が届き、昨年の使用量も表示されていて、その場で節電結果が判明した。何と30%も節電しているではないか。原発比率が35%、我が家はほぼ原発不要体制に入ってきた。やれば出来るものだ。さあ、原発反対派の諸君、徹底した節電をやってみようではないか。有言実行だ。

てな、心がけをし始めたら、水の節約も始まった。やたら流しに流してしまうのではなく、汚れていない水はしっかり打ち水に使っている。まぁ元々何年もお風呂のお湯は洗濯に使ってきたが、それはそれはやっていますよ、電気の様に。

なでしこの話しを聞くと、何と涙話の連続ではないか。スポンサーは撤退し、チームは離散し、多くの選手も生活に追われて去って行った。歯を食いしばって残ってくれた選手たちで、昼はスーパーで働き夜練習など、聞けば聞くほど感動する努力。必死に力を付け、ついに国民栄誉賞ものの世界一になった。

震災で罹災した人にとって、この偉業は「やれば出来るの」勇気をどれほど大きく与えてくれただろうか。

そう言えば子供の時に何度も母親が私に言った言葉がある。

「成せばなる、成さねばならぬ何事も、ならぬはなさぬ、人の成さぬなりけり」(・・・だったと思うが)

 そう言えば、私は仕事柄講演などで最後のプレゼンは定番で、「人間は意識改革はできない。行動を変えること(行動改革)だ」と偉そうに言ってきた。どうやら電力問題は行動し始めたが、行動改革になったかの評価には数年の時間が必要だ。即ち行動が継続しているかが問題だからだ。誰でも一時的なことはやるが敬三が結果だ。

 このごろ根性が無く、何事にもへこたれたり粘りが無くなった自分に、もう一度言い聞かせなくてはならない言葉だ。休肝日は作らないし、1日10000歩も程遠い、このホームページ用のエッセイも月末ギリギリにならないと書かない。いろいろ思い出すと心が暗くなるからこれくらいにして・・・、でも今日のウォーキングは特別暑いから明日にして、エアコン付けていないんだから暑さ対策でビールを飲もう!っと。

    (株)VPM技術研究所 所長 佐藤嘉彦 CVS-Life, FSAVE