株式投資の教訓とコメント
マーケットの魔術師シリーズ第1巻に登場するトレーダー、マーティ・シュワルツのインタビューの中から株式投資の教訓となる文言を抽出し、コメントを加えて考察します。
ナンピン
やられたポジションをナンピンするのは自殺行為だ。(p.264)
コメント
株は一旦下げ始めると、どこまで下がるかは分かりません。
止まない雨は無い、明けない夜は無い、という言葉があるように、実際にはどこかの時点で下げ止まることになるのですが、早めに下げ止まるという保証はどこにもありません。
また、当該企業が倒産すれば、極限まで下げ続けて、負債と残存価値との関係によっては、株式は無価値になります。
株価が買値から値下がりして評価損が出ているということは、下降トレンドである可能性があるということです。
下降トレンドのままでナンピンするということは、損失を更に増大させることになります。
行き当たりばったりで、単純に平均取得価額を下げたい為にナンピンをしてはなりません。火に油を注ぐようなものです。
レバレッジ
損を一気に取り返そうとすれば、ほとんどの場合大失敗する。(p.269)
コメント
損を一気に取り返そうとして、ポジションサイズやレバレッジを大きくし過ぎると、リスクが増大します。
相場が見込み通りに動けば、利益が大きくなりますが、見込みが外れた場合には、取り返しの付かない大きな損失を抱える原因になります。
移動平均線
移動平均線には逆らわないようにしている。自殺行為になるからだ。(p.270)
コメント
移動平均線は、単純なテクニカル指標ですが、強力な目安になります。株価が移動平均線の上方にあるか、或いは下方にあるかについて常に監視する必要があります。
株価が移動平均線の上方で推移している間は、安心して買いポジションを持てます。
株価が移動平均線を割り込んだら、買いポジションを手仕舞い、売りポジションを持つことを検討した方がよいでしょう。
下降トレンドの最中に買いポジションを持つと、運用資金は減少し、損失が増大します。
大負けするとき
大きな損はいつも大きな利益に続いて起こるものだ。(p.270)
コメント
株式投資で大きな利益を得た時は気持ちが大きくなり、ポジションサイズを増やせばもっと儲かるのではないかと思いがちです。
必要以上にポジションサイズを大きくしたり、レバレッジを高倍率にすると、リスクが増大し、少しの見込み違いで大きな損失を出す可能性が高くなります。
損切り
ポジションをとる前に、常にどれだけやられてもよいか決めておくことだ。自分が降参するポイントを決め、それを尊重することだ。(p.271)
損切りを覚えなさい。金儲けで最も重要なことは手に余るほどの損を決して出さないことだ。(p.274)
コメント
相場の世界で長く生き延びる秘訣は、損失を最小限に抑えることだと言われています。株は一旦下がり始めたらどこまで下がるか分かりません。ポジションを持ったら、ストップ・ロス・オーダー(逆指値注文)を設定し、機械的に損失を限定しましょう。
ポジションサイズ
資金が二倍、三倍と増えるまでポジションのサイズを大きくしないこと。(p.274)
コメント
株式投資で利益が出ると、気持ちが大きくなってポジションサイズを大きくし過ぎて、少しのミスで一気に資金を減らすことがあります。
運用資金が当初の金額に比べてある程度増えるまでは、こつこつと地道に利益を積み上げるようにしましょう。
運用資金がある程度増えれば、当初に比べて余分にリスクを取れるようになります。
投資方法の選択
重要な教訓は、各々のトレーダーが独自のベスト・アプローチを見つけなければならないということだ。(p.275)
コメント
テクニカル分析に従うべきか、或いは、ファンダメンタル分析に従うべきか。
デイトレードをするべきか、短期売買をするべきか、或いは、中長期投資をするべきか。
投資スタイルのどちらが優れているかということは、その人が株式投資で成功するかどうかには、あまり関係が無いように思われます。
重要なのは、その人が自分の投資戦略に対して納得し、自分に合うやり方でトレードしているかどうかという事です。
仕事でも株式投資でも、自分に合うやり方であれば長く続けられ、良い成果を出し易くなります。
ウィザード人脈
なし
著書
マーティ・シュワルツは以下の著書を出版しています。
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ピット・ブル - チャンピオン・トレーダーに上り詰めたギャンブラーが語る実録「カジノ・ウォール街」 |
新マーケットの魔術師に学ぶ株式投資の教訓(シリーズ第2巻)
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