リチャード・デニス
米国トップトレーダーが語る株式投資・ビジネス成功の秘訣、マーケットの魔術師シリーズ第1巻に登場するトレーダー、リチャード・デニスのインタビューの中から株式投資の教訓となる文言を抽出し、コメントを加えて考察します。
投資姿勢
始めたばかりの頃はこれ以上はひどくならないという程ヘタクソなトレーダーの方がいい。(p.97)
コメント
何事においても、初心者の頃に色々な間違いを経験し、その時々の教訓をフィードバック出来れば、ある程度はうまく行くようになります。
逆に、初めにうまく行き過ぎると、自分の能力を過信して、取り返しがつかないような大きな失敗を犯すことがあります。
株式投資においてビギナーズ・ラックは往々にして発生し得ます。
これに気を良くして運用資金を大きくし過ぎたりリスクを取り過ぎると、相場が逆行した時に大きな損失を出す可能性が高くなります。大きく儲けた時ほど冷静になって今後の投資行動を考える必要があります。
初めはひどく下手な位がいい。これは初心者にとっては心強い言葉です。精進次第では伸び幅が大きいので、大きく飛躍する可能性を秘めています。
リスク管理
実績が出る前に大きな賭けをするのだったら、それはうまくいかない。(p.98)
コメント
株式投資の初心者なのに、リスクを取り過ぎる方がいます。リスクを取り過ぎると、1度の失敗で運用資金を大きく減らす可能性が高くなります。初めのうちは小さい利益を積み重ねて、売買に習熟することが必要です。
メンタル管理
不安定になるような損が出た場合、フロアを離れ、家に帰って昼寝をするなり何なりして、次のトレードの決断を下すまでに少し時間をあける。(p.100)
コメント
「休むも相場」という言葉があります。大きな損失を出した時には頭を冷やして、失敗の原因を分析するべきです。
損を取り戻そうとして大きな勝負をしてはいけません。リスクを取り過ぎると運用資金を一気に減らす可能性があります。
投資戦略
トレードのルールを新聞に公表したとしても、誰もその通りにやらないだろう。(p.104)
彼らができないのは、どんな悪い状況でも自信を持ってトレード・ルールに従ってやることだ。(p.104)
コメント
仮に儲かる確率が高い投資法が公表されたとしても、誰もが利益を出せるとは限りません。その投資方法や売買ルールを理解し、ルールを忠実に守って実行出来る人はそんなに多くはないからです。
先人の優位性のある投資方法を参考にしたとしても、それが自分に最適な投資法とは限りません。自分なりに工夫したり変更したりして、自分のやり方を見つける必要があります。
投資姿勢
トレードの中で運というものはどれくらいの割合を占めているのですか。
長い目で見ればゼロだね。(p.105)
コメント
短期的には運が味方したとしても、長期的には運で勝てるほど相場は生易しくはないでしょう。その意味では、ビギナーズ・ラックには気を付ける必要があります。
株式投資は簡単だと錯覚して気持ちが大きくなり、大きなリスクを取って大損することがあります。
リスク管理
この仕事を二十年近くやっていて習得したことがあるとすれば、それは不測の事態や不可能が次々と起こるということだ。(p.109)
コメント
日常生活でも仕事でも、普段から不測の事態に対処する準備が必要です。何故ならそれは起こり得るからです。
世の中には、こんなことが起こるはずが無い、と思うようなことが実際に起こったりします。地震や自然災害も予期せぬときに発生します。
それは株式投資においても当てはまることで、予想以上に値上りすることがあれば、予想以上に値下がりすることもあります。
下落相場でもいつかは下げ止まりますが、どこで下げ止まるかは分かりません。損失を放置すると、想像以上の大きな損失となる可能性があります。
資金管理
小さくトレードしなさい。(p.121)
コメント
株式投資の経験年数に関わらず、ポジションサイズ(取引金額、株数)は控えめにした方がよいでしょう。リスクを取り過ぎると、1回の取引の失敗で大きな損失を出す可能性があります。
例えば、定年退職者の方に関して言うと、退職金は老後の大切な生活資金ですので、株式投資で大きく減らすことの無い様、くれぐれも余裕資金にて実施されることをお勧めします。
投資姿勢
自分のミスから勉強しなさい。(p.121)
コメント
結局のところ、自分が犯したミスの原因を分析して再発を防ぐことが、上達につながる近道です。
仕事にしても株式投資にしても、PDCAのサイクルの繰り返しにより、より高いレベルへ向上出来ます。
- 計画する。(Plan)
- 実行する。(Do)
- 評価する。(Check)
- 改善する。(Action)
メンタル管理
自分の資金の日々の増減に振り回されてはいけない。(p.121)
一回一回のトレードの結果がもつランダムな性格ではなく、自分が正しいことをやっているかどうかに焦点を当てなさい。(p.121)
コメント
運用資産の短期的な変動にとらわれると、それだけで疲れてしまいます。ゆったりとした気持ちで長期的なスパンで取り組む必要があります。
個々の勝ち負けではなく、自分が最適だと信じる投資戦略を忠実に実行していれば、結果は自ずと伴ってくるはずです。
損切り
トレードについて最も考えたくない時、つまり損をしている時こそ、最もトレードに注意を集中しなければならない時だ。(p.122~p.123)
コメント
うまく行っている時は、あれこれ考えなくてもうまく行きます。一方で損失が出ている時は、自分の投資戦略の正当性を再確認する必要があります。
評価損を放置してはいけません。損失額が許容範囲を超える前に、一定の損失が出た段階で損切りルールに従って手仕舞った方がよいでしょう。
ウィザード人脈
ウィリアム・エック・ハート…驚異的な勝ち組「タートルズ」の共同の生みの親。年間収益率60%を誇る実践的数学者。
推奨書籍
リチャード・デニスはインタビューの中で以下の書籍を推奨しています。
新マーケットの魔術師に学ぶ株式投資の教訓(シリーズ第2巻)
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