文鳥飼育の初期にみられるQ&A


・「お店の人に〜と言われた」
 ペットショップは文鳥を売るところで、飼っているのではなく商品として展示しているだけです。したがって、かなり長くこの商売をしている人でも、まったく飼育知識はいい加減な場合が多々あります。驚くほどのでたらめや、危険な飼育法を平然とアドバイスしていることもありますから、話し半分以下に聞いておいた方が良いでしょう。

・「飼育方法がいろいろあってわからない」
 飼育には、やらねばならない事、やってはいけない事はあっても、細かな点で絶対的な正解はありません。「専門家」が書いた飼育書の中身も細かく見ればさまざまで、中には問題のある内容もあるくらいです(参照ページ)。マニュアルを参考にしつつ、自分の頭でよく考えて、自分の流儀を作り上げていく気持ちが必要だと思います。
※私の現在の流儀については、『飼育法』や『文鳥本』をご参照ください。

・「買ったヒナに元気が無い」
 環境が変わると、餌付けをしようとしても口を開けてくれないことがあります。特に、お店でたくさんいる中で生活していたヒナが一羽になった時には、その傾向が強くなります。しかし、普通であれば、一晩明けて環境に慣れ、お腹がすけば食べてくれるはずです。もし、翌日になってもエサを食べず、うつらうつらと眠るばかりで元気が無い場合は、トリコモナスなど現在一部ペットショップでまん延している病気を疑い、動物病院で検査してもらいましょう。

・「お店で買ったヒナが飛べない」
 自分でエサを食べることが出来るくらいになって飛べないようなら、翼を確認しましょう。お店の人が飛ばないように、翼の羽を切っていることがあるのです。
 もし切られていると、次に羽が生え変わるまで普通に飛ぶのが難しくなってしまいます。そこで、ちょっと怖いかもしれませんが、切られている羽を根元から抜いてしまうと良いです。そうすると一ヶ月程度で新しい羽が生え、早く飛ぶことが出来るようになります。なお、生えそろった羽はすでに角質化しているので、切っても痛みは無く、抜いても血が出ることはありません(成長中の羽を抜くと出血します)。

・「オスかメスかわからない」
 文鳥はヒナの時もおとなになってからも、外見でオスメスを正確に見分けることは出来ません。ただ、正常なおとなのオスはさえずるので、観察すればすぐにわかります。さえずりとは求愛の歌で、のどを鳴らすような同じ節回しの連続音です。栄養が十分なオスは、胸を張るようにしたり、ピョンピョンはねたりしながら、繰り返し繰り返しさえずります。
 オスは生後2〜3ヶ月くらいになると、このさえずりの練習として、のどを鳴らして奇妙な裏声を出しはじめます。これは「ぐぜり」と言うもので、これを始めるとようやくオスとわかります。一方、生後半年くらいたってもぐぜりをはじめず、「ピッ!チッ!」と言った単音でしか鳴かなければ、ほぼメスと考えて良いでしょう。
 なお、さえずりは文鳥それぞれに個性的です(参照ページ)。

・「買った文鳥が手に乗らない」
 ヒナの時に人間が親鳥代わりに餌づけをすることで、手乗り文鳥になります。成長の過程で無理をしなければ、自然に手の中で眠る「握り文鳥」にさえなるかもしれません(性格による。また無理に手のひらに止めようとすると嫌われるので厳禁)。
 お店で餌づけをされ、そのまま大きくなった文鳥なら、乱暴にせず毎日遊んでやると、だんだん人間に懐いてくれます(ある日突然気を許すことも多い)。しかし、市販されているおとなの文鳥(成鳥)は、親鳥に育てられたもの(荒鳥)が普通で、このような文鳥は容易に人間になついてはくれません。それでも、時間をかけてマンツーマンで接していくと、手乗りの「ように」なってくれることもあり(参照ページ)、そこまでは無理でも、毎日声をかけながらエサを取り替える程度で、人間をさほど怖がらなくなっていきます。

・「いつもまん丸になって眠っている」
 鳥は寒い時、羽毛に空気をためて保温につとめます。つまり、本当に寒いのなら、羽毛をふくらませまん丸に見えても正常です。しかし、体調が悪く血液の循環が悪くなり、人間で言えば悪寒を覚えても、そのような体勢になります。
 もし、20℃以上の温度でも羽毛をふくらませ、元気が無い、食欲がない、クチバシの色が悪い、下痢症状、など異常が見られれば、室温を上げ、保温につとめ(30℃近く)、出来れば動物病院で診てもらいましょう。

・「親子や兄弟でケンカをする」
 文鳥には親子兄弟姉妹という概念がありません。親に育てられたヒナも成長し自立すると、異性の親は恋愛対象と見なし、同性の親はライバルと見なされるのが普通です。仲良く育った兄弟姉妹も、同じカゴで生活し続けると、やがて恋愛上のライバルとして、大ゲンカとなることもあります。
 本来はケンカとなっても、不利になれば逃げるだけで大ケガにはなりません。しかし、逃げ場の無いカゴの中では、特にオス同士の争いは、致命的な事になる危険まであります。文鳥では、一羽ずつかカップルでの飼育を基本として、生後2ヶ月ほどになれば、親鳥とは別居させ、兄弟姉妹も険悪な様子があれば別居させるようにしましょう。

・「かみつかれて困ってしまう」
 巣立ち後の野生のブンチョウには、おそらく兄弟姉妹や他の若鳥たちと遊ぶ時期があると思うのですが、一羽のヒナを育てると、遊び相手は飼い主しかいません。本能のおもむくまま、兄弟姉妹と遊ぶつもりで普通につつくと、人間には羽毛が無いという悲劇にぶつかります。つまり、かみつく文鳥には悪気はないのです。
 ここで飼い主が大声を上げて振り払ったりすると、文鳥のほうが嫌われたと感じて飼い主から遠ざかったり、むしろ敵として攻撃してくるようになったりします(特にオス)。逆に我慢してなされるままにしておくと、文鳥は加減がわからず、下手をすると人間の皮膚を食べて良いものと誤解してしまいます。
 成長段階の数ヶ月を過ぎれば、だんだん落ち着くので、痛くてもある程度我慢し、指で優しく応対するようにしましょう。

・「巣の中で奇妙な声で鳴いている」
 ヒナ換羽を終えた後、「キュル〜、キューン、キュルル〜」と鼻に掛かったような普段聞かない声をするのは、飼い主を恋ビトと認識し、自分の巣に誘おうとする誘い鳴きです。夫婦の文鳥では、お互いにこの鳴き方をするので、一種の甘え声ともいえます。

・「エサを数粒吐き戻す」
 伴侶への給餌は、鳥の求愛行動の一つです。手乗り文鳥で、飼い主を恋ビトと見なしている場合(文鳥にとって人間は同種の仲間。なお、人間の性別は無関係)、指などに数粒吐き出してくれることがあります。
 数粒なら普通のことですが、万一大量に吐き戻すようなら、病院で診てもらった方が良いでしょう。

・「オスがいないのに産卵した」
 ニワトリの玉子が無受精卵(無精卵)であるように、鳥は受精しなくとも産卵します。手乗り文鳥のメスの場合は、飼い主を恋ビトとみなし、いわば想像妊娠してしまうことが多いです。なお、飼い主の性別は無関係です(メスは愛するものをオス、オスは愛するものをメスと見なして、客観的な区分けは出来ない)。
 当然無精卵は孵化しませんが、すぐに取り上げてしまうと、産み続けて体力を消耗してしまいます。したがって、そのまま数週間温めさせるか、産卵場所(巣)を取り除くなどする必要があります。参照ページなどを参考に、今後の対策をはかりましょう。

・「一羽だと寂しいかもしれない・・・」
 ヒナの時から一羽で育った文鳥は、他の文鳥を見ても仲間と認識するとは限りません。自分のことを「人間」と思っていても不思議は無いのです(何しろ「人間」しか見たことがない)。従って、せっかく嫁や婿、または友達にと考えて買ってきても、飼い主の愛情を独占したい文鳥には、迷惑なだけとなる可能性が多分にあります。しかし、仲良くしてくれる可能性も当然あり、これはやってみないとわかりません。
 文鳥がどのように受け止めるか分からない以上、もう一羽増やすか増やさないかは飼い主側の問題と言えます。もし、ケンカばかりで別居せざるを得なくとも、ケンカ仲間が出来て生活に張りが出来たと思えるようなら増やし(実際文鳥の場合は、ガーガー威嚇することでストレスを発散させている面がある)、ケンカばかりで心配になってしまうようなら、新入りを迎えるのはやめたほうが良いでしょう。

・「ほとんど放し飼いにしている」
 いろいろな飼育スタイルがあって良いので、放し飼いが悪いわけではありません。しかし、飼い主が文鳥を踏んでしまうような事故は、長時間放鳥で注意が不足してしまうと、可能性がぐんと高くなるのは事実です。手乗り文鳥は全長で12cm程度、体重は25g程度しかなく、人間を恐れず付きまとい、危険か危険でないかの判断が十分に出来ないのですから、飼い主の目が行き届く時、つまり一緒に遊んでやれる時間以外は、カゴの中のほうが安全であるのは間違いありません。

・「カゴの中の止まり木・遊び道具」
 
文鳥などのフィンチ系の小鳥は、小回りのきく活発な動作が特徴です。また、握力はきわめて弱く、物を握りしめることもままならず、その点インコ系の小鳥とはまったく異なります。つまり、インコが握って遊ぶような道具は、文鳥には無意味に近くなります。
 また、何かの拍子でカゴの中でパニックを起こし飛び回った際(フィンチ系の小鳥では日常茶飯事)、カゴに多くの止まり木や遊び道具があると、引っかかり危険なことにもなりかねません。 止まり木は上下2本、遊び道具としては運動にもなるブランコ程度にとどめ、 とんがっていたり絡まりやすいものは避け、カゴの中はなるべくシンプルを心掛けた方が良いでしょう。
 


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