モータ制御
(1)DCモータの特性と制御
DC(直流)モータは、回転速度が直流印加電圧に比例し、トルクが直流入力電流に比例する特性があるため、電圧で速度の制御ができ、電流でトルクの制御ができるため、様々な制御に向いたモータです。
入力(W)は印加電圧(V)と入力電流(A)の積になります。
出力(W)は回転速度(rpm)とトルク(N¥m)の積になります。
AC(交流)モータは、回転速度が交流周波数(Hz)に比例するので、周波数で速度の制御を行うため、制御はDCモータよりも複雑になります。
モータの制御には、速度制御とトルク制御の他に、軸の回転角度を制御する位置制御があります。
(2)負荷特性曲線
DCモータに印加する電圧(V)を一定にした条件で、横軸にトルク(N¥m)、縦軸に回転速度(rpm)と電流(A)、出力(W)をとり、トルクを0 N¥mからモータが停止するまでの起動トルクを掛けたときの特性で、トルクと速度の関係をT-N特性、トルクと電流の関係をT-I特性と呼んでいます。どちらも比例関係になるので直線になります。
(3)制御回路構成
モータを制御する回路には、オープンループ回路とクローズドループ回路があります。
オープンループ回路では、モータに電圧や電流を印加するだけで、速度やトルク、位置などのフィードバック情報はありません。
クローズドループ回路では、速度制御では速度センサ、トルク制御では電流センサ、位置制御では位置センサが使われます。
速度センサや位置センサがモータ軸に直接取付けられている場合をセミクローズドループ。
速度センサや位置センサが負荷の回転部に取り付けられている場合をクローズドループと言います。
@速度センサ
速度に比例したアナログ電圧を出力するタコジェネレータがあります。
速度に比例した周波数のパルス列を出力するインクリメンタルエンコーダがあります。
A電流センサ(制御回路基板に実装されます)
抵抗器に電流を流して端子電圧を検出します。
磁気センサで電流を検出します。
B位置センサ
ポテンショメータ(可変抵抗器)で停止位置情報をアナログ電圧で出力します。
アブソリュートエンコーダで回転角度の絶対値をパルスで出力します。
(4)ブロック図
速度センサ、電流センサ、位置センサを使用したモータ制御回路のブロック図を示します。
モータ制御での回路構成は、一番内側に電流ループ、中間に速度ループ、一番外側に位置ループになります。
(5)非可逆制御
@回路構成
FET(トランジスタ)1素子を出力回路に使用した制御回路で、簡単な回路構成になります。

非可逆制御回路だけではDCモータの回転方向を正転と逆転に切り換えることはできません。
A逆転方法
DCモータの回転方向を切換えるためには、リレー又はスイッチがC接点で2回路必要になります。
B適用制御回路

 制御方式

 制御回路

可否

 速度制御

 電圧制御

 速度フィードバック制御

 トルク制御

 電流制御

 電流フィードバック制御

 位置制御

 アナログ位置フィードバック制御

×

 デジタル位置フィードバック制御

×

(6)可逆制御
@回路構成
FET(トランジスタ)4素子を出力回路に使用した制御回路で、複雑な回路構成になります。可逆制御回路ではDCモータを制御回路に配線したままで正転と逆転に切り換えることができます。

A逆転方法
可逆制御回路に入力する信号で正転と逆転が行なえます。
B適用回路

 制御方式

 制御回路

可否

 速度制御

 電圧制御

 速度フィードバック制御

 トルク制御

 電流制御

 電流フィードバック制御

 位置制御

 アナログ位置フィードバック制御

 デジタル位置フィードバック制御