株素人が株だけで生活する成田式絶対法則

成田式投資法

　本書は、時系列ＰＴ３・３という投資法を提案しています。ＰＴとはポジショントレードのことです。３・３とは連続性心理確率のことで連続３回ということを表しています。初めは何か難しそうだと思いましたが、実は単純なルールです。時系列ＰＴ３・３は呼び難いので、成田式投資法と呼んでいます。

売買ルール
１．買いは、当該銘柄の終値が３日連続して下落した場合に、当面の底値圏と判断して翌日に成行買い注文を出します。

２．売りは、当該銘柄の終値が３日連続して上昇した場合に、当面の天井圏と判断して翌日に成行売り注文を出します。

３．銘柄は東証１部の銘柄を対象としています。

４．投資対象銘柄の絞込みは、以下のファンダメンタル指標を使用します。
①ＰＥＲが１０～４０である。
②ＲＯＥが１０～３０である。
③ＰＢＲが１．５以下である。
④増益である。
⑤浮動株比率が１０％台以下である。
⑥外国人持株比率が１０％以上である。
⑦各業界のトップシェアクラスである。

　上記７点の条件のうち、５点以上を満たした銘柄を投資対象とします。

考察

　ある銘柄が３日間続落したら、安くなったと考えて買う人が出てくるので、その後値上がりするだろう、という考えに基づいた売買ルールは、アイデアとしては面白いと思います。

　投資法自体は簡単なルールなので、初心者でも実施出来そうです。書籍の中で実例を挙げて利益が出ることを述べていますが、ある一時期のデータなので、普遍的に使える投資法かどうかは更に検証する必要がありそうです。
過去の株価データを使用した成田式投資法の検証

　読者は成田式投資法が使えるのか使えないのかということに興味があると思います。
私の意見としては、短期的には適合する局面があるが、継続的に利益を上げるのは難しいのではないか、ということです。
そうかと言って全く使えないかと言うと、相場の地合いによっては適合する局面もあるので、微妙なところです。

　成田式投資法は株式相場のトレンドを直接的に認識して考慮する手法ではありません。上昇トレンドの押し目のときに買いサインが出た場合は、高い確率で利益を上げることが出来ます。反対に下降トレンドの途中で買いサインが出た場合は、更に値下がりして評価損が拡大する恐れがあります。

教訓

　株式投資方法に対する評価は人それぞれ様々で、どの様に解釈するかは自由です。使えるとか使えないとか、一言で言うのは簡単ですが、一冊の書籍の形で出版されているということの根底には、著者が主張する強い想いが存在していると思います。
　そのような著者の想いを感じる言葉を抽出してみます。

　自分自身が自分にとって一番「信頼できる」投資法を少しずつでも研究して見つけ出し、それを自己流の投資指標に改善して投資活動をしていくという姿勢が重要であろう。(p.48～49)

　実用書などの本を読むことの目的は、
一つ目は自分の興味がある分野の情報やノウハウを得るということです。
二つ目は、本から何らかのアイディアやヒントを得て、自分なりのやり方を考えたり、そのきっかけをつかむことです。

　先人のやり方を参考にして、その成功事例や失敗事例を教訓として学びつつ、自分なりの工夫を加えて独自のスタイルを構築することが、成功に近づく秘訣だと思います。

著者

成田静洋

出版社

あっぷる出版社

目次

１章　株素人が株だけで生活するための絶対生活
２章　成田の投資法則なら利益１００％を狙える！
３章　私の投資基礎指標公開＆１００％投資成績実証データ
４章　株素人が投資をする時に必要な情報源