アル・ウェイスに学ぶ株式投資の教訓

株式投資の教訓とコメント

　マーケットの魔術師シリーズ第２巻に登場するトレーダー、アル・ウェイスのインタビューの中から株式投資の教訓となる文言を抽出し、コメントを加えて考察します。

投資と継続力

一晩でトレーダーになった訳じゃないんだ。トレードを始める前、トレーディングに関して基本的な研究を四年間した。(p.195)

コメント
　例えば、土日の２日間で税理士になる為の知識を教えて下さい、と言われても無理な話です。同様に、土日の２日間で勝てるトレーダーになる為の知識と技術を習得することも、かなり難しいと言わざるを得ません。
　本来、勝てるトレーダーになることは、一朝一夕にはできないことであるのに、確実に儲かりそうな銘柄を教えてほしいとか、手っ取り早く儲かる投資法を教えてほしいとか言う方は、世間に結構いらっしゃいます。
　「ローマは一日にして成らず」という言葉があります。何事も多大の努力をしなければ、成し　遂げられないということです。それは勝てるトレーダーになる、ということにおいても同様です。

投資と勝率

５０％の正確性があるパターンであれば、しっかりしたリスク管理を適用することによって、有益に用いることができるね。(p.196)

コメント
　株式投資の成績に関して、勝率が高いとかなり注目されます。しかし勝率だけに目が行って、全体の損益は考慮されていない場合があります。そのため、勝率が高いのに損益はマイナスということが起こり得ます。
　ある投資法や売買ルールの勝率が仮に５割だとした場合、直感的には、大きく儲かることも無く、大きな損失を出すことも無さそうな気がします。
　しかし、評価益が出ているときはトレイリング・ストップで利益を伸ばし、評価損が出ているときはストップ・ロス・オーダーで損失を限定すれば、損小利大となり損益をプラスに出来ます。

投資と規則性

天候、波、マーケット、すべてに周期がある。最も重要な長期周期の一つが、インフレとデフレの周期だ。(p.198)

コメント
　株価に周期があるということは、株価の変動が離散的ではなく、一定の規則性があるということです。
　歴史は繰り返すと言います。何か優位性があるパターン、規則を見出すことが出来れば、自分なりのうまいやり方というものに到達出来るかも知れません。
　周期とは異なりますが、季節的な変動、年度替わりの変動などがアノマリー(anomaly)、即ち例外・変則・変り種・不条理と呼ばれており、一種の法則のようなものとされているようです。
　試しに検索エンジンにおいて「株　アノマリー」で検索してみると、色々な法則について検証が試みられているのが分かります。

投資とチャートパターン

チャートを一般的に個々のものとして見ずに、古いチャート・パターンを複雑な組み合わせの一部として見ることによって、チャート分析の信頼性を高めることができる。(p.199)

コメント
　株価チャートには様々な種類があります。株価そのものをグラフにしたものもあれば、テクニカル指標としての数値を算出し、それをグラフにしたものもあります。何れにしても株価の動きはチャートとして可視化されています。
　例えばローソク足には、その組み合わせをパターン化し法則化した「酒田五法」があります。法則には「三山」「三川」「三空」「三兵」「三方」という種類があり、各々に買い・売りのパターンがあります。
　上記教訓における「古いチャート・パターンを複雑な組み合わせの一部として見ること」がどういうことなのかはっきりとは分かりませんが、日本の例で言えば具体的には酒田五法なのかなと想像しています。

ウィザード人脈

なし

マーケットの魔術師に学ぶ株式投資の教訓(シリーズ第１巻)