Come Rain Or Come Shine

Come Rain Or Come Shine

基本データ

  • 作曲年:1946年
  • 作曲:Harold Arlen (1905-1986)
  • 作詞:Johnny Mercer (1909-1976)

参考音源

Sarah Vaughan in Hi-Fi (1950)
1コーラス半をストレートにしっとり歌い上げたテイク。
Art Blaley and Jazz Messengers / Moanin’ (1958)
軽快なテンポでの演奏。キーはF。
John Coltrane / The Last Trane (1958)
後年リリースされたコルトレーンの録音。
Sonny Clark / Sonny’s Crib (1959)
ソニー・クラークが管楽器を加えた編成で録音したアルバム。この曲は前テーマをカーティス・フラーが、後テーマをドナルド・バードが演奏している。
Bill Evans / Portrait In Jazz (1959)
スコット・ラファロ、ポール・モチアンとのトリオで、ミディアム・スローで演奏している。キーはFで、リハーモナイズの仕方が凄まじい。

曲目解説

1946年のブロードウェイミュージカル St. Louis Woman の1曲。公演は決して成功したとはいえないが、この曲はスタンダード・ナンバーとして残った。

メロディとコード

キーをFとして解説する。

2小節目

機能的に3小節目Dmへのドミナントであり、実際はEm7(♭5) A7とすることが多い。

ただし、変化をつけるためにEm7 A7としたり(Vaughan,1950など)、 Em7(♭5,♮9)(Evans, 1959)とした録音も聞かれる。

5小節目

Gm7の録音もあるが(Evans,1959 など。ただし内声を4-♯4と動かしている)、大半の録音ではG7としている。

7-8小節目

一旦トニック、Fmaj7に解決してから8小節目で、F7なりCm7 F7とする譜面が多いので私も何となくそう思っていた。

しかし、実際に音源にあたっていると、そのような音源のほうが圧倒的に少数派で、7-8小節目を通してF7(あるいは、Cm7 | F7 |もしくはCm7 F7 | Cm7 F7|としている録音)ものが大半であった。

確かに、解決しないハーモニーのほうが歌詞にフィットするように思われる。

9-10小節目

B♭m7 | Fm | で、これを機能的に解説すると、同主調(Fマイナー・キー)のサブドミナント(マイナー)-トニック(マイナー)という進行である。

11-12小節目

B♭m7 | C7 |あるいはそれから派生した、B♭m7 B♭m7/A♭ | Gm7(♭5) C7 |という進行が多い。

B♭m7/A♭はA♭m7としてもよいが、好みが分かれそう。

13-14小節目

この個所はずいぶんと音源によってバリエーションがある。

Vaughan(1950)は、Fm7 | Cm7 | としている。とてもシンプル。

Clark(1959)は、Bm7(♭5) E7 | Am7(♭5) | としていて、同じ年のEvansの録音も似ている(14小節目にD7がつく)。こんにちではいちおうこのチェンジが一般化しているようだ。

なお、Coltrane(1958)は、Fdim | E♭dim | と演奏している。コルトレーンのサウンドにマッチしていて興味深いが、Art Pepperなどもこのチェンジを採用している。

21-24小節目

ここはBm7(♭5) | E7 | A7 | A7 | 、あるいはこれに類するものが多い。

ここから派生したバリエーションとして、21小節目をG7やBm7としたもの、23小節目をEm7としたものなどがある。

ちなみにEvans(1959)は、G♯m7 C♯7 | F♯ B7 | Em7 A7 | Fmaj7 B♭maj7 | とリハーモナイズしている。このアイディアにはただただ脱帽するしかない。

25-28小節目

D7 | D7 | G7 | G7 | を基本に、それを多少変化させたものが多い(一度半音上がって戻るなど)。

ちなみにEvans(1959)のアイディアは、Am7(♭5) D7 | E♭maj7 A♭maj7 | Dm7/G G7 | B7(♯9,♮13) B♭7 | (Dm7/A) である。

31小節目

一般に、平行マイナーのトニックであるDm7であるが、D7(♯9)とすることもできる。