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さて、今回は“良い超電導体”というものについて説明します。 前回までの話で、超電導には温度と磁場が強く関わっていることがわかったと思う。 しかし、もう一つ大事なものがあるのだ。 それは電流である。
この電流はいわば磁場の親戚のようなもの。 電流の流れるところに磁場アリ、といったところだ。 抵抗がゼロといえども、無限に電流が流せるわけではない。 電流を流せば熱が生ずるし、磁場も発生する。 つまり、流せる電流にも限界があるということだ。 これを臨界電流と呼ぶのだが、これが応用にとってまたしても重要である。
第1種超電導体に電流を流すと、それによって発生した磁場により、いとも簡単に常伝導状態に戻ってしまう。 しかし第2種の場合は、磁場の場合と同様に桁違いに大きい電流を流せる。
前回の図を思い出して見てくださいな。第2種では磁場が常伝導部分に捕らえられていたことがわかるでしょう。 これにより臨界電流値までは、磁場を捕らえていてくれるのである。 この常伝導部分は小さく(直径数ナノメートル程度)、たくさんあった方が臨界電流が高い。 当然、温度も低い方が、たくさん流せる。
参考までに数値を示すと、良質の超電導体が持つ臨界電流はおよそ 数万 [A/cm2] (この単位は導線の断面が 1平方センチメートルのとき、何アンペアの電流が流せるかを表す)。 これはすごい。 一般の導線に使われている銅の場合は 6 [A/cm2] くらいなんだから。
こういったことをふまえて、次回からはいよいよ実用に関して話していきます。
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