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ぶきっちょうさぎの恋物語 |
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出逢い
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ある田舎町に何度恋をしても成就しない、 とても不器用な野うさぎがおりました。 そのうちとうとう、恋に疲れ果て、もう誰かを好き になることさえ できなくなってしまいました。 2年後のある秋、たまたまみかけたとても素敵な 青うさぎに恋をしてしまい、それからは毎日毎日 青うさぎを見に出かけては、草の陰から青うさぎ をみつめておりました。
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その年のクリスマス近い12月のある日、 不思議な奇跡が起きて、その青うさぎは、その 野うさぎの存在に気づいてくれたのです。 そして、やさしい青うさぎは、その野うさぎに 声をかけてくれたのでした。 やっと青うさぎとお話ができるようになり、 それどころかお友達になってくれたのです。 野うさぎは、それはそれはもう大変の喜び様で 天にも昇る気持ちになったのです。 嬉しくて毎日飛び跳ねておりました。
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奇跡
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恋はいじわる
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でも心のままに大胆な事を言ったかと思えば、 急に臆病になったりと まるで二重人格みたいに 強気と弱気が心の中でいつしかけんかを始めて しまいました。 そうです。恋の仕方を忘れてしまった野うさぎは、 あまりにもちぐはぐな行動しかとれず、次第に 青うさぎに嫌われていくのでした。 元々そんなに野うさぎの事に感情などなかった 青うさぎは、何が何だかわからなくなり、段々と 野うさぎの事が苦手になり、あとずさりをするよう になっていったのです。
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その事は 敏感な野うさぎは、すぐに察知し 悩み苦しむようになりました。 すごく迷った末、これ以上嫌われていくのが 怖くなった野うさぎは、そのうち自分の事を 本当は邪魔なのではないかと思い出し、 とうとう自分から別れを告げたのでした。 そのことがあとで どんなに長く続く苦しみと なる事を知らずに。 案の定、自分から告げたにもかかわらず、 野うさぎは、その青うさぎをいつまでたっても 忘れる事ができませんでした。
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苦悩
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消えない炎
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野うさぎは、ずっといつまでも ひたすら青うさぎの 事だけを想い続けていました。 自分でもどうしてそんなに青うさぎの事が すごく 好きなのかわからないのです。まるで魔法にでも かかったようでした。 ただ陰で見かけるだけで秘かに胸をときめかせ、 胸熱くなるのでした。なのにもう近づくことさえ出来 なくなりました。 想いの粒だけが増えていき、心をもてあました 野うさぎは、そのうち自分の想いを ポエムで綴る ようになっていきました。 一方で、秘かにそんな事を青うさぎに内緒でする 事は、なんだかやましいことをしているようで 段々と気がとがめていくようにもなっていきまた。 でもとめられなかったのです。自分が壊れてしま いそうで・・・・・。
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そしてとうとう、愛するあまり、自分の想いが 青うさぎの幸せを邪魔するのではないかと心配を するようになり、意を決してあきらめることに しました。想いを断ち切る事にしたのです。 それが青うさぎの幸せの為だと思ったのです。 野うさぎは、泣いて泣いて泣き続けましが、 想いは募るばかり。何を見ても悲しいように しかみえなくなりました。 他の誰に声をかけられても見向きもしません。 寂しさから振り向いてみても やはり青うさぎ と比べてしまい、ますます青うさぎの事が 好きになるのでした。青うさぎの事を愛して いくのでした。 それからしばらく悪い事は続くもので、何を やっても失敗ばかりの暗い日々が続きました。 泣いている日のほうが多くなり、笑う事さえ 微笑む事さえ忘れていきました。
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悲しい決断
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愛の意味
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そういう日々を繰り返しているうち、あっというまに 2年経ち、またクリスマスが近づいてきました。 野うさぎは、今までも何度も青うさぎの夢を見て いたのですが、ある日青うさぎが野うさぎに微笑ん で、「ありがとう。」と言ってくれた夢を見たのです。 野うさぎは、夢ではありましたが、大変嬉しくなり 勇気を少しもらった気がしたのです。 ふと何かが断ち切れたように 自分の心の壁を ひとつ乗り越えられたのです。暗いトンネルを通り 抜ける事ができたのです。
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そうだわ。想っていれば、ずっとずっと想って いれば、もしかしたら いつの日か 叶うかも しれない。 たとえそうでなくても、人を想う事は、誰かを 愛する事は、それ自体が幸せな事であり、 とてもキラキラしていて素晴らしい事。 野うさぎは、もう迷う事なく心のままに生きる事 にしたのです。無理しなくていいんです。そう。 忘れないなら想い続けていても。 青うさぎの幸せと 自分の幸せとは、必ずしも 結びつかないけれど、本当の愛とは、 相手が心から幸せと思える事を望む事。 それを純粋に心から願う事。 ひすたら愛し続ける事こそ真実の愛では ないでしょうか。。。。。 野うさぎは、静かに微笑み また青うさぎを 前よりいっそう 慕い続けるのでした。 いつの日かまた お話できる事を信じて、 青うさぎの事を想い続けるのでした。。。。。 続く。。。
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真実の愛
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