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迷探偵「波子伊太郎シリーズその5用明天皇の謎」

突然ですが、先日近くのコミュニティーセンターで挨拶と短い講演をしたのでここに 紹介します。

〜〜〜〜〜少年犯罪についての講演記録〜〜〜〜〜○○地区文教委員会、○○校区保護者会

「みなさんこんにちは、平成の名探偵波子伊太郎です。教育関係者ではないのに壇上で挨拶せねばならないことになってしまい、少々面食らっております。これもあれも、うちの馬鹿な探偵助手の聞き間違いからはじまったことなのです。リソースメータを振り切った頭についた耳には「少年と犯罪について講演のお願い」というのを「少年が、犯罪を公園で女の子あいてに行っている」と聞き間違えたあげく、「探偵を行かせます」と、何の確認もせず引き受けてしまう馬鹿です。(会場(笑))

さて、平安時代。ご存知ですね?ヘブライ語ではエルシャロームというらしいですがこの時代の日本にも不良少年はいました。と、いったら皆さんはびっくりされますか ?

「鬼」というやつがそれです。そうシマシマパンツで角のあるやつです。

平安時代というと何だか平和そうな気がしますが、平和なのはお金持ちの貴族さんたち。われわれのような庶民には戦争の悲劇こそすくなかったが、生活が厳しいのは何時の時代も変らない。

厳しい生活の中、人里はなれた山奥などに子捨て、姥捨てが行われます。おっそこの奥さん、同じ平でも「安」の時代じゃなくて「成」の時代でよかったですね(会場・しらける)

ゴホン。さてその中でも幸か不幸か生き残った子供たち、それが「鬼」の正体だったのです。

桃太郎。。あれなんかも捨て子なんでしょうね。で、同じく捨てられたおじいさんとおばあさんが拾うわけです。(会場・眉を顰める)

ここで一つわかりますよね。捨てた側は捨てた子を鬼とよび、捨てられた子は捨てた側を鬼と呼ぶわけです。今の世ではこれを勝ち組だの負け組みだのともという(会場・シーンとする)

鬼なんていない。これは古代だろうが、中世だろうが現代だろうが、同じです。鬼を作るのは人間なんです。

ここで、それらの鬼から一つモデルを出しましょう。茨木童子。酒呑童子の子分です。手元のパンフレットの中に挟んであるプリントに書いてある昔話をご覧下さい。

『茨木童子についての史料』http://www.1134.com/ibaraki/01douji2.html

はい。目を通されましたね?

この茨木童子女の子かもしれないですね。拾われた床屋というのは寝床、おそらくいかがわしい場所だった。そこで養われたはいいが稼ぎがなくて放り出されました。

しかしこの子は、生みの親を探し出し最後に恩返しに表れるわけです。金銀を持ってきたというのはそれだけが童子が信じられる大事なものだった。でも捨てた娘が不良になって戻ってきたことで悪い噂を流されたら困る親は追い返してしまう。童子は更正のチャンスを失ったわけです。なんとかわいそうなことでしょう。(会場・さらにシーン)

いまの時代、子や年寄を捨てるっていうことは少ないかもしれない。でもね、子や年寄にお金だけ渡して関心を持たないってことは、子や年寄を捨ててるっことと同じなんです。生活や仕事のために子や年寄の相手をする時間がない。これが事実なら子供
もおそらく捨てられたなんて思わない。子は親が時間を子供のために使わず親自身のために使っていることをみぬいているんじゃあないでしょうか?少ない時間を子供のために使うっていうことが、子供に人間を思いやることの大事さを教えるんではない
でしょうか?

鬼は勝手にできるものじゃない。人間が作るんです。いや知らぬ間に作ってしまうのです。。

童子には産まれる前後から、16ヶ月も腹の中にいたとか、生れ落ちたとき既に歯が生え揃っていたとか、すぐに歩いたとか最初ッから鬼だったかのようにいわれています。これは最初から鬼であったから、悪くなるなるのもしようがないという周囲の諦めを正当化するためにアトヅケされた伝説でしょう。鬼に育ててしまった事への一つの言い訳なんじゃないかと私は思う。

つまりこいつは最初の最初ッから異常であって自分達とは違うのだ。ということを際立たせ、犯罪を日常的に行う人間とそうでない自分たちとの「線引き」をした。そうした心理作用が「異常な生い立ち」。

関心がないと相手におもわれること。それが問題なのではないでしょうか!?(会場 ・納得)

みなさん。家族に関心をもちましょう。それが少年犯罪を発生させない手段の一つです。(会場。拍手)

まあ、教育問題より、殺人事件の推理ようですが、これで私の挨拶とさせていただきます。

みなさん、悩み事や行方不明調査は3丁目の波子探偵事務所まで、秘密厳守。相談だけなら三十分500円でキャンペーン開催中です。ではみなさんさようなら(^^ゞ
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堂田「しかしよく、誤魔化しましたね」

波子「堂田君、君ねぇ。。少年の行方不明者捜索事件の依頼と少年犯罪問題についての講演依頼とを聞き間違えるなんて嘘だろう。少年しかあってないじゃないか。まあ今回は騙されてやったけどさぁ」

堂田「「そんなことないですよ。聞き間違いですって。。」

波子「ふーん、そうかい?そうそう会場の手伝いをしていたボランティアの女の子、美人だったよなぁ。まさか美人に頼まれて私を騙したってわけじゃあないだろうねぇ?」

堂田「ギクっ」

波子「いまどき、珍しい清楚な子だったよな。今度お茶でも誘ってみようかな。ボランティアだからボラ子と名付けよう」

堂田「ボラ子って。。。。。」

波子「君と同い年くらいだったね。そういえばどこかボラにも似てるじゃないか」

堂田「どこがですか!!!」

波子「落ち着き給えよ。しかしなんでそんなに興奮するんだ?」

堂田「いや別に興奮なんか・・・」

波子「しらばっくれなくてもいいよ。もうネタは上がってる。彼女は高橋愛22歳独身おとめ座のA型。きみの大学の同窓生で、サークルも同じ推理小説研究会。」

堂田「げっ!!!」

波子「いい娘じゃないか、なんで隠してた。どうせ片思いってところなんだろう?その娘に『まあ堂田君探偵事務所に務めてるの?私探偵とか珍しい仕事してる人の話がききたいな』とか言われたんだろう。」

堂田「ろろ」

波子「呂律がまわってないよ」

堂田「そそそそそ、んなことより『茨木童子』の話、なかなか良かったですよ。波子先生にしては準備万端でしたね。」

波子「あっあの話ね。茨木童子の昔話は愛ちゃんがたまたま持ってただけだよ。昔話をモチーフにした推理小説をつくるとかでさ。控え室で見せてもらったんでね。それをコピーして配ってもらったということさ。彼女は桃太郎をモチーフにすると言ってたよ。茨木が目に付いたのは昨日君がパソコンで茨木皇子がどうしたとか書き込んでたろ。それを横目で覗いてんだ。愛ちゃんの持ってた昔話もてっきりその話しかと思って目に止まったんだよ。でもそれが大江山の鬼退治だったってわけさ。君も推理小説家を目指してるんなら、ネットばかりしてないで勉強したらどうだい。」

堂田「僕だって勉強してますよ。」

波子「勉強?ネットの掲示板とにらめっこして更新ボタン押すのが勉強なのかい?」

堂田「よく見てますねェ」

波子「注意力がいいだけだよ。君が何してようと私には関係無いからね」

堂田「ふっふっふっ。僕だって知ってますよ。昨日駅前のパソコン教室に行ってたでしょ?」

波子「ぎくっ」

堂田「あそこの初心者コースのインストラクターの女性、美人だもんなぁ」

波子「えっ?そうなのかい」

堂田「またまた。とぼけちゃって、さっき背広の中なら「初心者向けインターネット・Eメールコース」の領収書がでてきましたよ」

波子「あああああ」

堂田「呂律が回ってませんよ。」

波子「どうでもいいだろ?そんなこと!ところで茨木皇子ってのもいるんだね。」

堂田「あっ先生のほうから歴史の話をふってくるなんて珍しい。。。パソコン教室から話を逸らそうとしてますね?」

波子「で、逸らすのか逸らさないのか?」といって、机の上のビール瓶を握り締める。銘柄はヤタガラスビールだ。

堂田「逸らしましょう。」

波子「で、童子と皇子は同じ人物なわけ?」

堂田「まさか!茨木皇子といえば欽明天皇の皇子の名前です。詳細は不明な点も多いのですが、一説によると後の用明天皇、つまり聖徳太子のパパの別名かもしれない、とも言われてる名前です。同一なわけないでしょう?」

波子「歴史素人を馬鹿にしてるのか?素人相手にその態度は、そんな答えられ方したら、質問もできやしない。これだからオタクってやつは。。。」

堂田「気に障ったたらすいません。」

波子「誤って済む問題かい?質問者に対してそんな態度を取るってことは相手を馬鹿にしてる証拠だ!だいたいね、用明天皇なんて名前自体知ってる奴はほとんどいないよ。試しにそこの商店街に行ってアンケートでもとってみろよ。100人中99人は知らないはずだ。しかも茨木皇子なんてのは有名人の父さんしかも別名ってわけだろ?
そんな名前しってるのはこの町内でおそらく君一人だけだ!!!民主主義の原則からいえば君こそ異端だ!」

堂田「異端だなんてそんな、大げさな。。」

波子「君がそんな大人になってしまった原因はおそらく教師だな。きっと君は教師に『何か質問ある者は挙手しなさい』とかいわれておそらくクラスで一人だけ手を上げるタイプだったんだろう?手を上げて当てられてはじめて自分一人しか手を上げてないことに気が付いて恥ずかしい思いをしたはずだ。」

堂田「何を根拠に。。」

波子「根拠?それは目の前にいる君に他ならない。君は教師に質問した。その質問を受けた教師はきっと『なんだこいつ、こんなこともわからないの?』と思ったはずだ。そして口に出してこういったはずだ」

堂田「えっ?」

波子「『ちゃんと授業を聞いてたのか?』ってね」

堂田「何でわかるんですか?」

波子「言ったろ、ヒントは今の君自身だ。まぁそんなことは今はどうでもいい。そう言われて君はその後なんて答えた?」

堂田「そりゃ、聞いてましたと答えましたよ。だいたい聞いていたから質問できるんでしよう?」

波子「そう、いいところに気が付いたね。その通りなんだ。質問が無いということは当該箇所の説明を百パーセント理解できたか、乃至は聞いていなかったか。あっもう一つある。聞いても理解できなかった。でもこれは聞いてないのと同じなんだ。だからその教師はおろかにも君に向かって『聞いていたのか?』と問いかけた。」

堂田「はあ、そうなりますね。」

波子「君の対応はその教師と同じなんだよ。」

堂田「え?どういうことですか?」

波子「教師が児童に『質問があるものは挙手しなさい』といった理由は何だと思う?」

堂田「そりゃ、詳しく、解かりやすく教えるためでしょう?」

波子「馬鹿か、君は。その教師には最初の説明より詳しく、解かりやすく説明できる能力がある分けないだろう?そんな能力があるんなら、最初の説明のときにもうやってるはずだ!」

堂田「ええええっ!?」

波子「その能力が教師にあるんなら最初から詳しく解かりやすく教えりゃ、そんな手間はいらない。そうだろう?」

堂田「まぁ、そう言われればそうですねぇ。じゃあなんで挙手させるんです??」

波子「挙手させることが自分の授業の計画予定に最初からあったからだ。」

堂田「よくわからないなぁ。じゃあ何でそんな予定を計画するわけですか?詳しく説明するためでしょう?」

波子「違うよ。聞いてなかった奴を炙り出すためだ。彼の仕事は児童に理解させることではない。児童に自分の授業を聞かせることなんだ。」

堂田「それって、同じことなんじゃ?」

波子「もちろん。聞いて理解できる理解力の高い児童にとってはそうだろう。しかし君のように察しが悪くて魯鈍な人間にとっては同じことではない。で君はまんまと炙り出されたわけだ。」

堂田「魯鈍で悪かったすね。」

波子「つまりだ。教師というのは、自分の言いたいこと、やりたいことや、上からやれと言われた事をしているだけに過ぎない。児童がそれを理解できたかできてないか、なんて教師の知ったことではないのだよ。教師が確認したいのは、自分がいったこと
を聞いてたかどうか。それだけなんだ。」

堂田「そんな馬鹿な!教師っていうのはものを教える職業のはずでしょう?」

波子「違うね。授業を遂行し学校行事をこなす事。それが彼らに課せられた最大の任務であり最低限の責任なのだ。モノを教えるっていうのは副次的な仕事なのだ。」

堂田「そんな馬鹿な!!」

波子「だってそうだろう?教えるのが仕事なら教わったことを子供達全員が理解していなくてはいけないはずだ。そうなっていないのは君をみていれば明白だろう?いいかい?児童や生徒には教わる義務、学ぶ義務、習う義務というのがある。」

堂田「絶句」

波子「納得できたかい?異端くん??さて話を戻そう。聖徳太子のパパとして有名な用明天皇というのが茨城皇子なのかい?」

堂田「実はですね。用明天皇には池辺皇子とか大兄皇子という呼び方もあって、一応、系譜の上では茨城皇子とは別人なんですよ。」

波子「うん?さっきと話が違うじゃないか?」

堂田「実はですね。日本書紀には茨城皇子が彼の異母姉である磐隈皇女と近親相姦したという記事が載っているんですよ。」

波子「下世話な話まで載せているんだね。日本書紀っていう書物は。。で、それがどうかしたのかい?日本書紀という書物の中の世界ではその茨城皇子と用明天皇つまり池辺皇子は別人なのだろう?」

堂田「それがですね。池辺皇子がこれまた異母兄敏達天皇の娘、簡単に言うと姪の莵道貝鮹皇女というのを犯したという話もあって・・。このあたり正史では兄弟姉妹の関係が複雑なんですが、この四者が近しい親族だったことは疑いようがないわけですよ。茨城皇子はこの事件が下で失脚してるっぽい。というのはここから先名前が出てこないのですよ。で池辺の方というと彼は大王に即位している。同じような事件を同じような時期に犯しながらこの差は何なのだろうと。。。もしかしてですね、池辺と茨城は同一人物なんじゃないかと。。。」


浪子「なるほど。事件は本当は一回だけで池辺が起こしたけど茨城のせいになっているという事?」


堂田「僕はそう思うんですけどね。まあそういう可能性があるという事。でも二回あったとするなら同時期に二回も『斎王』が犯されて、その任を解かれてる事が異常じゃないかと・・。それも近親者同士、それも相手は斎宮という重責を担う娘なわけですからね。懲りないというなんというか、異常ですよ。」


浪子「そういえば、推古天皇も「アナなんたら」に犯されそうになったとかあったな。」


堂田「穴穂部皇子、この人も天皇候補だったのですが、これに失敗して失脚する運命になります。」

浪子「なんだ!当時の王室はレイプを成功させたら天皇になれるってか?」

堂田「まさかそういうわけではないですが。。。。それに池辺以外はその後失脚してるわけだし。あっ池辺だけが最後まで成功した?で他は途中で邪魔された。磐隈は。。。」


浪子「馬鹿か君は!最後までとか下品きわまりないなぁ。そういう問題じゃないだろう?そんな事当事者にしかわからない。逆に当事者が『最後までやった』と言ってしまえばそれを覆すことはできない。」


堂田「へっ?というと? 」


浪子「もっと明確な答えがでてるだろう?斎宮だよ」


堂田「斎宮が犯された。。。。つまり処女じゃなくなったから?日の神への奉仕なわけだし。。。処女性が重視されたのはわかりますが。」


浪子「馬鹿か君は。処女かどうかなんてこれも自己申告だ。ごまかそうと思えばごまかせる。という事は疑おうと思えば疑えるというとだよ。信仰心が厚いのだから斎宮自身が正直に言ったことは言ったんだろうが、疑いを向けることはいくらでもできるってことが問題なんだよ。」


堂田「そりゃそうですが。。。疑ったってしようがない事でもあるじゃないですか?」


浪子「この前の聖徳太子の話でも出たけどこのころの日本列島の支配者は『日を兄と』したんだろう?」


堂田「中国の史書にはそうあります。それとこれと。。。あっ日の神!!」


浪子「やっと気がついたかい。日を兄としたって事は日の神への奉仕こそ、支配者の義務であり同時に特権なんだ。」


堂田「特権?」


浪子「そうだろう。支配者の上にいる総支配者が日の神だ。その意思を問えるのは斎宮しかいない!」


堂田「あっ。。。。」


浪子「そうだ。日の神への祭祀権を握ったものこそが、「弟」を使って「あめのしたしろしめすおほきみ」つまり後の世でいう『天皇』になれるんだよ。」


堂田「まさか!」


浪子「イワなんたらは茨木に、ウジなんたらは池辺にそれぞれ「犯される」ことによって斎宮の地位を奪われた。」


堂田「ちょっと待ってください。」

といって、堂田は斎宮の一覧を取り出した。


堂田「荳角皇女は継体が、磐隈皇女は欽明が、菟道皇女は敏達が、酢香手皇女は用明がそれぞれ擁立している。」


子「殺された天皇がいただろう?彼は?」


堂田「崇峻、推古は誰も擁立していません。酢香手は推古の在位中に自ら引いたとあります。聖徳太子が亡くなった年に。その次は天武が擁立した大伯皇女。制度としての斎宮は彼女が初代ということになります。」


浪子「天武といえば、本当の意味での初代天皇だよな。」


堂田「はい。そういわれてますが。」


浪子「初代天皇と初代斎宮は当然同時にできたわけだ。表裏一体だね。これでこの制度は法によって別の次元に無理やり移されたわけだ。「祭」と「政」の分離だね。天武は壬申の乱に勝利することで「政」の実権を握り、日の神への「祭」つまり祭祀権も斎宮を制度化することによって完全に掌握したってことだろう。で、斎宮を天皇の下に持ってきた。崇峻は用明と同列の大王じゃなかったんだ。継体から用明と続く歴代の大王と比べる一段以上下の大王。だから臣下に殺されても誰からも不満が述べられなかった。」


堂田「確かに、大王が暗殺されてるのに動揺は少なそうですが。。。。でもそれは馬子の政治力が強大だったからじゃ?」


浪子「蘇我馬子か。こいつは何者なんだろう?」


堂田「何者って言われても、大臣でしょう。」


浪子「だからその大臣って何だ?偉大だろうがなんだろうが所詮「臣」。臣下なんだろう?そいつが主殺しをしたのに罪に問われないというのはいくら古代でも納得がいかない。」


堂田「そういわれればそうですが。。。。」


浪子「ちょっとその一覧を見せてみろ。」

といって、一覧を受け取って眺める。その一覧には斎宮の読み方と関係者のよみ方にルビがふってある。


浪子「おい。いばらきじゃないじゃないか。」


堂田「は?」


浪子「『うまらき』とルビがふってある。」


堂田「ああそうですね。古代の読みなんでしょう。それが何か?」


浪子「本当に君はどうしようもないね。「うまらき」だよ?こいつが蘇我馬子だろう。しかし織田信長にしても聖徳太子にしてもやたらと馬に縁がある。」


堂田「はぁ?」


浪子「いやそうだ。これは間違いない。馬子の正体は茨城皇子。だからこそこれだけの特権を持っていた。」

堂田「そんな無茶な」

浪子「いいかい。磐隈皇女が斎宮から失脚したのは茨城皇子の手柄なんだよ。つまり馬子の手柄ってわけさ。」


堂田「手柄って強姦がですか?」


浪子「君の思考は停止しているのかい?強姦があったかなかったなんて関係ないと言っただろう。斎宮を失脚させたことが手柄なんだ。で、池辺もそれに習って菟道皇女を斎宮の座から引き釣りおろした。これが欽明敏達王朝の最後だ。ここから用明王朝が始まる。祭(斎宮)政(大王)一致だよ。こうすることで理論的には非の打ち所の無い王権が誕生する。斎宮が前王朝から続くものなら最終決定は日神の祭祀を握る前王朝の人間たちにも計らなければならない。独裁しにくいってわけだよ。用明王朝の称号こそ『アメノタラシホコ』初代が池辺こと用明、二代目が厩戸こと聖徳太子なんだよ。」


堂田「ちょっと待ってください。確かに新唐書では用明がアメノタリシホコであるとされ、続く宋書ではわさわざ聖徳太子の事まで特筆してますが。。。それに用明朝の専属みたいな言い方をしている斎宮の酢香手は推古の時代、といっても聖徳太子の死まで斎宮の座にいます。」


浪子「そりゃそうだろう。用明王朝の後継者は聖徳太子なんだろう。それが死ぬことで斎宮も役目がおわったってわけさ。」


堂田「じゃあ逆に言うと推古は敏達の妻としての影響力があって敏達系王族やその臣下から戴かれて大王位についたわけじゃなく、用明の妹として用明王朝の後継者として立ったと?」


浪子「そりゃそうだろう。独自に斎宮を立てなかったんだから。女性だから斎宮と兼任していたのかもしれないよ。」


堂田「まさかそんな。」


浪子「それに、その推古の地位にしたって、おそらくアメノタリシホコである聖徳太子の死後、緊急的に選択されたんだろう。」


堂田「推古は最高権力者らしく馬子の要請を断ったこともあるほどの人ですよ。」


浪子「何時のことだ。その要請が行われたのは? 聖徳太子の死後じゃあないのか。」


堂田「あっ!!!そうでした。」


浪子「それまで、天皇らしいことはしてるのか?」


堂田「そういわれれば。。。。。馬子に任せただの、聖徳太子に摂政させたとか『丸投げ』みたいな感じも。。」


浪子「そうだろう。聖徳太子は推古が長生きだったから天皇になれなかったということになってるが、違うんだろう。聖徳太子=アメノタラシホコが死んだから老齢を押して推古が立たざるを得なかった。これが実情だろう。」


堂田「ちょっと待った!うまらきが馬子だと言いましたよね。馬子の生年は551年ころ、磐隈は推古の姉は年は合うのか。。」


浪子「推古の姉なのかい?じゃあ磐隈は用明の姉でもあるわけか。なるほど。。。同母関係はまずすぎるってことで標的を交換したのか。馬子と用明、いや、『うまらき』と『いけべ』はかなりの悪友だったのかもしれないね。」


堂田「でも572年には敏達の世になるから19歳以下か。。。でも可能性はあるわけだ」


浪子「現代なら少年犯罪だね。その時代でも子供扱いされて不問に付されたのかもしれないよ。何時の世も家庭を顧みないとこうなるってことだろう。」


堂田「歴史上の大王の家庭を仮説とはいえちゃかすなんて。。。」


浪子「まあ、家庭のことは仮定ってことで。。。。。。。。。」


堂田「お後がよろしいようで。。。。。。。」

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