我が家 の古木 紹 介

(2020年2月に 更新しました。)


訪問して頂き有難うございます。このページの中ほどに、椎の木に関する特性の調査結果を示し、後半には、我が家のもう一本の古木であるコロガネモチを写真で紹介します。最後部に、この樹にまつわる裏話を付記しております。どうぞ最後までご覧下さい。

我が家の古木を紹介します。

樹の名前はコジイです。背丈は14mで、それほど高くありませんが、胴周り(目通り周)が4.8mもあり、平成1年に高槻の古木百選に選ばれ、高槻市の保護樹木に指定されたものです。 この保護樹木は、神社、寺にある古木が大半で、個人所有の古木は限られておりますので、大事にしていきたいと思っていましたが、住民パワーには抗しきれず、平成26年(2014年)5月10日に、境界からはみ出している大枝を剪定しました。。

400年間生きてきた古木をこんな姿にすることは、断腸の思いでしたが、これも時代の流れなのでしょう。高槻市が指定している保護樹木も年々減少し、現在27本になっている様子です。我が家のコジイは、平成26年5月10日をもって、保護樹木の指定を解除されました。

一般に『シイノキ』と呼ばれるブナ科シイ属は常緑広葉樹で、日本では『スダジイ』『コジイ』の2種類があります。スダジイはコジイと比較して、樹齢が長く、大径の巨樹になりやすいので、日本各地の巨樹の多くはスダジイと考えられます。この意味で、我が家のコジイは稀な古木ではないかと考えられますが、こんな姿にしてしまったことは、祖先にも申し訳ない思いですし、これから再生してほしいと願っております。 幸い新芽が力強く噴き出しておりますので、生き延びると信じております。コジイの最後の項に調査結果を示しております。

   
2014年5月10日大剪定前の雄姿です。2014年5月10日大剪定後の変わり果てた姿です。
   
2台の大型クレーン車による剪定作業の様子です。。境界からはみ出している大枝(途中)の断面です。
   
直径約1mの大枝剪定後の姿です。2日間にわたる大剪定作業後の姿です。

この様な姿になってしまいましたが、樹の生命力は凄いものです。剪定から1ヶ月もすると新しい芽が出始めております。  高槻市の鑑定では、樹齢 約400年ですので、
関が原の合戦が1600年、徳川幕府の体制が固まったころに、この樹は成長を始めたと考えられます。 江戸、明治、大正、昭和、平成 の時代を生き延びて、各時代を通じて、人間様の変わりようを静かに文句も言わず、眺めていたことでしょう。

私の母が語ってくれた昔話によりますと、この樹から白い蛇が出てきたとのことです。こんな縁で、小さな祠を祀っております。

私の子供のころは、この樹に登って良く遊びました。神が宿る樹だから登らないように何度も叱られたことを思い出します。

毎年5月にやって来る屋根の掃除は苦痛ですが、これだけは、当面楽になりそうですし、近所の住民パワーもしばらくは鳴りやむことでしょう!!!




椎の木の特性について

我が家のシイノキ(コジイ)が、どのような特性を持ち、 シイノキとして、どのような位置付けにあるかを把握するために、巨樹・巨木・古木関係のHPや単行本を調べた結果を下表にまとめました。
 
項 目 特性 と 位置づけ
種類と寿命 シイノキはアジアを中心として広く分布する広葉樹で、日本では、『スダジイ』『コジイ』がありますが、この中間的な種類も多く存在するようです。

スダジイの葉長は7〜15センチ、コジイの葉長は4〜7センチであるとの文献(樹木の個性を知る 東京大学教授 大場秀章氏より)からすると、我が家のコジイは、7センチ以上の葉も含まれることから、中間品種ではないかと考えられますが、樹皮は灰褐色で縦割れが極めて少ないことから、コジイに近い中間種(ニタリジイ)ではないかと考えられます。

スダジイとコジイを比較すると、スダジイの方が大径になり易く、樹齢も長い特性を持っており、コジイが100年以上になるのは極めて稀であるといわれています。従って、次項で述べますが、幹周り5mを超える巨木の殆どはスダジイに属すと考えられます。

この意味で、我が家の古木は、中間種とはいえ、コジイに近いので、長寿に属するのではないかと推定しておりますが、まだまだ調査を続けたいと考えます。

巨樹・巨木 かって、古代の西日本では、シイ、カシなどのの原生林で覆われていたと考えられますが、次第に人間の手が入り、開拓が進むと、木材として伐採されましたので、今では神社・仏閣で庇護されたものだけが巨樹、巨木となって残されているのが現状です。

シイノキに関しては、幹周りが10m以上の巨樹は日本で数十本程度しかなく、例外を除いて、全てスダジイに属すそうです。例外的に、宮城県 亘理郡の称名寺のコジイは、幹周り10.4m 樹高11m 樹齢600〜700年で、コジイの分布の北限より北の地で、ここまで育ったのは感嘆と驚嘆を隠し得ないと云われております。

スダジイについては、幹周りが10mを超える巨樹が伊豆諸島で次々と発見されております。とりわけ、御蔵島(三宅島の南南東19Km、本州から約200Km)には、スダジイの巨樹の宝庫となっているそうです。現在、幹周りが13.79mが報告されております。日本一のスダジイを育んだこの島は、海岸線は絶壁が多く、開発を免れたことが、このスダジイの原始林を温存させたと考えられます。

シイノキの効用について 椎の実は古代より食用として重要であり、縄文時代には、これが主要な食材であったといわれております。このことから、我々の遠い祖先が生き延びるための糧として、この樹に依存していたことになりますので、椎の実は我々の育ての親と言っても過言ではないのかもしれません。

稲作が盛んになった弥生時代に入って、ようやくその役割をお米の方に譲ったわけですが、現在でも、野生動物の主食として貢献し続けていることを忘れてはなりません。これに関連する話として、福井県敦賀市西福寺のスダジイは新日本名木100撰に選ばれ全国に知られておりますが、幹周り7.5m 樹高10m 樹齢650年で、西福寺開山の良如上人のお手植えと伝えられておりますが、飢餓の際にも、シイの実が食べられるようにとの配慮であったと言われているそうです。

『ドングリ』と称せられているのは、ブナ科の木の実の総称で、22種類あるそうです。なかでも、コジイの実は小ぶりではあるが、タンニン酸が少なく、渋みが少ないので生でも食べられるほどで、終戦時の食糧難の時代には我々も食べた経験だあります。更に、椎茸の原木にも利用され、われわれの食材に寄与しておりますし、樹皮は染料に利用されております。

我が家のシイノキにもドングリが秋に実ります。下の写真は9月末ごろの実と去年の乾燥させた実の写真を示します。




我が家には、もう一本の古木がありました。樹種は、クロガネモチです。 高槻の古木百選には漏れましたが、高槻の古木編『その他の調査樹木』一覧表No.44 に示されております。屋敷の北東に鎮座し、 上記のコジイとともに、我が家の北側を占拠しておりましたが、2018年9月4日の台風21号で大破しました。下に写真を示します。

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2本の古木にまつわる裏話 .

@ ミツバチの巣別れ(分封)
このコジイの幹は中空になっていて、人が十分入れるほどになっております。約10年前に雨水の浸入を防ぐため、業者に依頼して工事を行ったことがあります。 この際に判明したのは、ミツバチの大きな巣があり、女王バチを中心に大量の蜂蜜を作っておりました。作業の人は、このミツバチの攻撃を受けて体中を刺されたことがあります。 五月の初め頃には、このミツバチが異常な行動をします。この時期には、巣が手狭になった場合に『巣別れ』が起こります。巣別れに先立って、新しい女王バチが育てられます。新女王バチが羽化する前後に古い女王バチは、ほぼ半数の働きバチをつれて巣を出て行き、別の場所で巣を造るために旅立ちます。このとき、大量のミツバチが興奮状態になるそうです。従って、この時期に巣に近づくと、モウレツな攻撃に合います。近所からも、このことで何回も苦情を言われております。 結局、この樹の巣には新しい女王バチを中心とする一族しか住めませんので、旧女王バチを中心とする約半数のミツバチが移住を余儀なくされるという掟があるようです。この光景を目撃したことがありますが、この時が最も危険で興奮の極に達します。女王バチを取り囲んで、群がりながら、一団で何処かへ飛んで行きました。ハチの攻撃から身を守るのは、水道水を霧状にして放射すると、ハチは羽根が濡れることを極端に嫌がるため、防御の有効な手段だそうです。又、煙を吹き付けるのも、ミツバチを静かにさせるために有効とされます。

A カラスの巣とゴミ袋
もう一本のクロガネモチの樹には、2〜5個程度のカラスの巣があり、毎年カラスの子供が生まれます。今や、カラスは厄介者の代表格で、特にゴミ袋を破って、ゴミを散らかす以外にも、子供のカラスをかばうため、人間に向かって攻撃してくる場面を経験しております。更に、樹の下を歩いている際に汚物の洗礼を受けることもあり、手を焼いております。近所からは、お宅の樹から飛んでくると言われたこともあり、悩んでおりました。しかしながら、ゴミ袋の件について、ゴミ袋の上にネット網を被せることで、ほぼ完全に防止できることが判り、隣組自治会で実施しております。これほど見事に効果を発揮するとは夢にも思いませんでしたが、鳥類のネットに対する恐怖心は遺伝子に組み込まれているように感じます。カラスのゴミ袋に対する害で悩んでいる方は是非試して見てください。




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