日本各地(一部海外)の古木・巨木・珍種を訪ねた記録です。

《第 1 部》

〈訪問いただき有難うございます。 ゆっくりご覧下さい。〉



京都・京北町 常照皇寺の『九重桜』(国の天然記念物)を紹介します。

常照皇寺境内には、江戸期の建築物である怡雲庵(開山堂)や方丈、庫裏をはじめとする伽藍が立ち並んでおり、近世の優れた文化遺産を今に伝えています。
また、怡雲庵前にある『九重桜』は有名で、国の天然記念物に指定されています。その他にも、一重と八重が一枝に咲く『御者返しの桜』や御所から株分けした『左近の桜』などの名木があります。(以上は京都府の歴史的自然環境地域を示す立て札の表示文である)
常照皇寺は北朝一代目の光厳天皇が1362年頃に開創された臨済宗京都嵯峨天竜寺派に属する禅寺である。訪問日が5月26日であり、緑が映える時の写真を紹介します。尚、中央の達磨の写真は同寺の方丈にあった掛け軸の一部を示します。


京都・美山町のトチの樹を紹介します。

美山町は東西32Km、南北18Kmに及ぶ広大な面積を有する町で、『かやぶきの里』として有名である。この町の中心部よりやや東に位置し、由良川の渓流沿いに、京都北山型の農家住宅として、かやぶき家屋38棟がある美山町字北地区は重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。この地区では、『中野』姓が約60%を占めるので、屋号によって、お互いの家を区別しているとのことである。
この『中野』一族の氏神が稲荷神社として、近くにあり、その神木としてトチの巨木が鳥居を入ったすぐの拝殿前の左側に鎮座している。幹周りが5.1mあり、高木のため遠くからでも望見できる。


同じく京都・美山町 大原神社のケヤキを紹介します。

美山町の西端で和知町に近い樫原に、大原神社があり、その入口にケヤキの大木が鎮座している。樹の高さはさほど高くないが、幹周りは、およそ6mほどの大木で、『京都の自然200選』選定植物に指定されており、存在感のある古木の風格を感じる。
この神社の奥には、石田家住宅があり、建立年代の明らかな民家としては日本最古と言われている古いい建物で、立て看板によると、1650年に建立との墨書が残っているそうです。
又、この近くには、大野ダムがあり、由良川の水量を調節し、福知山方面を経由して若狭湾より日本海に注いでいる。近くの大野ダム公園は桜と紅葉の名所として有名である。


桜の日本三大名木の一つ、岐阜県 根尾谷の淡墨桜(うすずみざくら)を紹介します。

所在地は岐阜県本巣市根尾板所字上段(標高204m)で、通称根尾谷淡墨ザクラです。品種は彼岸桜で、推定樹齢=1,500年、目通り周=9.1m、 大正11年に国の天然記念物に指定。この淡墨桜は、300余種ある桜の品種中 名花の上位にあたる品種で、散りぎわに特異の淡い墨を引いたような色になることから、
この名前がついたと言われています。
今から千五百年も前の昔、後の継体天皇の幼少のころ、皇位継承をめぐり、後の雄略天皇の追害を受け、この美濃の山奥に隠れ住まれたそうです。 29歳のときに継体天皇として都に帰られる時に、住民との別れを惜しんで植えられたのが、この淡墨桜だと伝えられています。

普通の桜の木の寿命は長くて2,3百年ですから、千五百年もの長い期間を生き抜くには、数々の壮絶なドラマがあったことは容易に想像できます。
名木・淡墨桜は 千数百年にわたって生き続けましたが、大正初期の大雪では大枝(一の枝)が折れたり、昭和23年頃には,樹が衰弱し、枯れ死まで2,3年と診断されたそうです。この時、 岐阜市の医師・前田利行氏による回生の根継ぎ手術が行われました。
腐った根を切り落とし、周辺の若い山桜の根を接合するもので、接合部には、 生卵の白身を塗ったそうです。238本の根継ぎを行った結果、見事に生返り往年の盛観を呈すまでに回復したそうです。(最後の写真に、前田利行翁の句が刻まれておりますが、 この淡墨桜に対する壮絶な思いが伝わってきます。)
又 昭和34年の伊勢湾台風で、太い枝が折れ、またもや、無残な姿になったそうです。 そんな時期、昭和42年に來村した作家の故・宇野千代女史が、痛々しい姿の老木を見て、
グラビヤ誌『太陽』に感想文を発表し、 岐阜県知事に書簡を送るなどの活動により、県が動き、保護に努めた経緯があるそうです。

高槻市にある今城塚古墳の主が誰かについては、まだ定かではなく、茨木市太田にある茶臼山古墳を宮内庁は継体天皇陵としていますが、 高槻市の今城塚古墳こそが継体大王の墓と考える説が有力でありますので、上記の淡墨桜が継体天皇のお手植えの桜との伝説を信じたい思いに駆られますし、 古代のロマンを彷彿とさせてくれます。


醍醐寺、三宝院の桜を紹介します。

醍醐寺は真言宗醍醐派の総本山で、874年の創建。遠く平安の昔から桜の名所として親しまれ、特に、太閤秀吉が慶長3年(1598年)に催した『醍醐の花見』は特に有名である。上醍醐、下醍醐合わせて8万坪の境内には約2000本の桜が妍を競っています。
三宝院の表門を入ってすぐ左手に、しだれ桜の古木があります。これを下の写真で紹介しますが、かなりの古木であり、この2代目として、クローン桜がすでに、その近くに植栽されております。


屋久島《世界自然遺産》のスギを紹介します。
わが国の世界自然遺産は屋久島と白神山地 および、2005年7月に登録された知床半島の3地域のみで、世界文化遺産は、2004年に登録された『紀伊山地の霊場と参詣道』を含めて10地域に及びます。

特異な生態系とすぐれた自然景観を有する屋久島を訪ねた時の様子を紹介します。

左の写真は屋久島の樹林を探訪した時に出会ったもので、くぐり杉と名前が付いていました。樹高、幹周り、樹齢などは不明ですが、写真の人物と比較して、そのスケールの大きさには圧倒されます。

屋久島は、ほぼ円形の島で、円錐形の地形をなしており、1,000mを超える山が40数峰も連なり、洋上のアルプスと呼ばれております。海岸部の平均気温は19.2度です。又降雨量は平地で、年間4,000ミリメートルにも達します。
すぐ近くにある種子島とは、自然環境が全く異なる特異な島で、この自然条件が、樹齢千年を越える大量の屋久杉を育てたと考えられます。

屋久杉の樹林の中を歩きますと、多雨のため良く育ったコケが根株の周りに張り付いて古色蒼然とした感じが漂います。この写真は一旦枯れ死し、その根元から新しい芽が出て育ったように推察されますが、このような情景が延々と続き、常に再生し続ける森林の エネルギーを感じます。
屋久島では、樹齢が千年以上を屋久杉と呼び、それ以下は小杉と呼ぶそうです。代表的な屋久杉の樹齢を観光ガイドの資料から紹介します。

縄文杉7200年?  紀元杉 3000年
母子杉 2600年  小田杉 2500年
仏陀杉 1800年  天柱杉 1500年
      

屋久杉を代表し、日本で最長老の樹と考えられている縄文杉で、杉としては日本で2番目の幹周りを誇っております。

国の特別天然記念物に指定され、樹高30m 幹周り16.1mですが、 樹齢7200年には、異論が出ており、3000年以下と推定されております。

長命な屋久杉の原因は、新鮮な水に恵まれながら、栄養分が少ない花崗岩の山地に育ち、大変成長が遅く、材質が緻密で樹脂分が多く腐りにくいので長命になると考えられています。
(屋久島自然館資料より)


しまなみ海道 大三島 大山祗神社の楠を紹介します。

瀬戸内海のしまなみ海道に点在する島のひとつに大三島があります。この大山祗神社に乎千命御手植の楠があります。

国の天然記念物に指定され、樹齢2600年、樹高15.6m 幹周り11m で、古来 御神木として崇められているものです。

この神社は大山積大神を祭り、海上安全の守護神でもあります。


日本の最南端に近い西表島サキシマスオウの樹を紹介します。
西表島は日本の最南端に近く、本土より台湾に近い島です。国指定特別天然記念物に指定されているイリオモテヤマネコで有名な島です。

この島の9割は自然のまま保存され、原生林が島全体を覆っています。サキシマスオウの樹はマングローブの森が両岸に迫る仲間川の中流に鎮座しています。
仲間川を遊覧船でさかのぼると、両岸に現れるマングローブの森。
これらの木は、子孫を残す為に下端が尖った細長い種を下の泥に突き刺して種を植え付ける方法で繁殖を繰り返しているそうです。この木が頭脳を持っているかのようで、自然の知恵はすばらしいと感じた次第です。

ちなみに、マングローブというのは、木の名前ではなく、海岸や川辺の 水面から出て繁殖する木の総称だそうです。従って、マングローブの森、マングローブの林とは言いますが、マングローブの木とは言いません。

この樹は根っこ部分が板状で垂直に盛り上がっているのが特徴です。

樹齢は約400年と言われています。昔はこの板状部分を切り出して、真名板など色々な用途に使用されたようです。

このような板根(バンコン)は熱帯地方の巨木に、一般に見られる現象で、熱帯地方の代表的な樹であるフタバガキでも幅の広い板根を持っております。しかしながら、このように刃物のように薄い板根は非常に珍しいようです。

   
日本の一般的な猫です。イギリスの猫です。
(スコティッシュ・フォールド種)
我が家の 愛猫です。
これがイリオモテヤマネコ です。耳の先が丸いのが特徴です。目の色は緑色に写っていますが、こはく色が本来の色だそうです。夜行性のため観察は至難です。


京都 鹿苑寺(金閣寺)のイチイガシを紹介します。

金閣寺(別名 鹿苑寺)は、臨済宗 相国寺派に属し、応永4年(1397年)の創建。足利義満が開基、山号を北山(ホクサン)と称し、平成6年12月に『古都京都の文化財』の一つとして、(世界文化遺産)に登録されています。

日本の象徴として、日本で最も有名な建物のひとつです。二階、三階には金箔を全面に施していますので金閣といわれていますが、本来は舎利殿といって仏の遺骨を安置する建物です。

写真は残雪に映える鹿苑寺 舎利殿です。
2005年11月16日にアメリカ ブッシュ大統領夫妻がここを訪問しました。

鹿苑寺境内にあるイチイガシです。この樹種は京都市周辺では数少なく、京都に残るイチイガシの 巨木として貴重な存在だそうです。京都市指定の天然記念物です。
鹿苑寺のイチイガシは、1982年12月の写真では、同規模の2本が記載されております。(京都市文化観光局編集発行の『京都の木』17ページより)
もう一度 再調査したいと思っております。



島本町の古木を紹介します。

高槻市のすぐ東に大阪府三島郡島本町がある。この大沢村にスギの古木があります。大阪府の天然記念物に指定され、樹高が約20m、幹周り6.7m、推定樹齢=800年です。高槻市の古木で最大の幹周りを有するのが一乗寺の楠木で、6.4mです。又、高槻市のスギで最大の幹周りは、諏訪神社(萩谷)の4mですから、如何にこの大沢のスギが太いかが想像できます。多分北摂近辺ではスギとして最大の幹周りを持っているのではないかと思われます。
これだけ立派なデータを持つ古木が府道79号線を成合ー川久保ー大沢を経て、ベニーCCの手前500mの道路から50mほど登ったところに鎮座しています。尚、道路わきに小さな立て看板『大沢のスギ』が表示されています。

   
『大沢のスギ』立て看板ここから3Kmほど京都側にある柳谷観音・楊谷寺大沢のスギ遠景

   
大沢のスギ@大沢のスギA大沢のスギB


ベニーカントリー倶楽部の樅(モミ)の樹をを紹介します。

場所は大阪府三島郡島本町大沢で、No.6ホール(パー5)に鎮座しています。ロングホールの2打目を打つ場所にあり、右側から2打目を打つ場合には邪魔になり、ゴルファーには歓迎されておりません。ボールが良く当たる大幹には竹のカバーが施されて、この樹を守っております。樹齢は約500年と推定されています。高さや幹周りは測定しておりませんが、高さは約35mほどで、かなり高いものです。雷などに何度も打たれていると推定されますが、上部まで枯れずに頑張っておりますので、このホールの風格を保ち、名物ホールとなっております。


中国 広州市の古木を紹介します。

これは中国 広州市の樹である木綿の樹です。広州市は広東省の省都で秦の時代から交易都市として発展し、2300年の歴史を誇る古い街だけに、古木が多く見られます。一方、広東料理を育て『食在広東』でも親しまれております。

この写真の樹がある場所は越秀公園内の鎮海楼(広州博物館として利用)の玄関付近です。又この鎮海楼の前には、アヘン戦争に使用したという大砲が置かれ、波乱に満ちた広州の歴史を物語っています。

広州市の中国大酒店の横にある広い道路の街路樹として、保護されており、街の風格を保って堂々としたものです。樹種名は不明です。
同じく繁華街の道路の一角に街路樹として、保護されており、街の歴史を感じさせますし、緯度の低い広州市の夏の日除けとして、なくてはならないものになっている様に感じます。樹種名は不明ですが上記のものと同種です。


シンガポール セントーサ島の古木を紹介します。

シンガポールは淡路島程度の小さい国で、マレーシアの南端に位置します。赤道直下の熱帯性気候で、年中、半パンツで過ごせ、植物は良く繁り、熱帯独特の樹木が多数見られます。道路網が整備せれており、道路の両側には街路樹が繁茂し、日除けの役目をしております。下の写真でも紹介します。このシンガポール島の南端に観光スポットとして人気があるセントーサ島があります。セントーサ ゴルフ クラブのそばにイチジクの古木がありますので紹介します。現地の説明文によりますと、数百年前にイギリス軍人によって植栽されたもので、40m四方に枝を伸ばしております。尚、蛇足ですが、日本からシンガポールまでは、約6時間のフライトで、時差は日本より1時間遅れになっています。

 
シンガポールの一般的な道路で、両側の街路樹が繁茂セントーサ島の南はマラッカ海峡、入港を待つ船舶群

セントーサ ゴルフコースに隣接して、一般名ジョホールイチジクが鎮座 ジョホールイチジクの根元

   
同じく幹部同じく全体像(女の子が樹に登っている)




〈今後も各地の古木・巨木を訪ねたいと思っております。〉

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