さ行の用語

さえずり 桜文鳥 さし餌 飼育書 地子 飼鳥クラブ シナモン文鳥 獣医

シルバー文鳥 白文鳥 巣材 巣離れ 巣引き 育て親 素嚢

 

さえずり

 オス文鳥による求愛の歌。さまざまな鳴き方があり統一的なものは存在しない。文鳥の確実な性別判断はこれの有無以外にはない。

 さえずりながらダンスをして、オスはメスに言い寄るのだが、メスがいなくとも景気づけにさえずったりする。
 さえずり方はさまざまで、若い時(ぐぜり時期)に人間が「ホーホケキョ」などを教えることも出来る。ただしインコのように言葉を真似をすることはないようだ。

『文鳥の飼い方育て方』  『さえずりの殿堂』

 

桜文鳥=さくらぶんちょう

 原種文鳥と同じ配色だが、所々に白い差し毛がある文鳥。胸の差し毛がぼやけて、桜の花びらの散る様子を連想させので、このように称される。

 はっきりいって、文鳥といえば桜でしょう!ただ何となく何でも桜文鳥と考えるのは大きな間違いで、桜と言うからには、胸にぼかし模様が無ければ話にならないでしょう!残念ながら、現状はその点大変あいまいで、混乱している。
 普通に考えると原種と白文鳥を交配させた結果生じた雑種のような気がしてしまうが、桜文鳥同士から原種は生まれないので、個人的には遺伝子的に独立した配色上の品種と考えている。白の差し毛の多寡がさまざまなのは、白文鳥との交配を代々繰り返し固定化する動きすらなかったことに原因がありそうだ。

『文鳥問題』5『文鳥問題』6『文鳥学講座』5『文鳥の歴史』

 

差し餌=さしえ

 ヒナに人間がエサをあたえること。

 孵化2週間から5週間目くらいにかけて、湯づけにしたアワ玉などを給餌スポイト(『育て親』)で与えるのが一般的。
 これによって、ヒナは人間を『親』と考え、恐れず手に乗って遊んだりする手乗り文鳥となる。

『文鳥問題』10『文鳥の飼い方育て方』

 

飼育書=しいくしょ
飼育の際の参考となる本。マニュアル。.

 文鳥専門に限ってもかなり種類があり、それぞれに特徴がある。
 マニュアルどおりにはいかないのが世の常なので、過信をしてはならない。参考にする分には有意義だが、なくて困るという程のものではないだろう。

『文鳥学講座』2

 

地子=じご
生まれも育ちも日本国内の文鳥のこと。

 原産地で捕獲される文鳥や、台湾などから輸入されるものと区別するために用いられた言葉で、一般的に「寒さに強い文鳥」という意味合いを持っている。
 現在日本の文鳥は、一部台湾産のヒナが輸入されている以外は、ほとんど地子である。

『文鳥問題』2

 

飼鳥クラブ=しちょうくらぶ

 繁殖家(ブリーダー)や一般の小鳥愛好家の会員制親睦団体。

 基本的に文鳥にしか興味がないので、文鳥専門のクラブが存在しないらしい現状では、何の会員にもなる気はない。したがって内実は良くわからないが、繁殖家の親睦団体が中核にあって、若干の愛好家が参加しているといった内容のものがほとんどのように思われる。また最大の団体でも会員数は200人未満と規模も小さく、全国的な組織を持つといったものではない。その点で限られた都市圏の愛鳥家の集いと見なせる。
 飼鳥クラブの社会的運動の話は聞かないから、良い意味でも悪い意味でも繁殖家の業界団体と言うわけでもないらしい。何とか保存会のように小鳥の標準形を定めて、それを保護していこうといった目的意識も明確に打ち出しているようにも思えない。一年に一回程度展覧会をして、何となく会報を作って近況を知らせあう。つまりは親睦団体以外の何物でもなく、それ以上でも以下でもないものと私は見なしている。
 それだけに気楽に参加できる気もするし、同好の士を見つけるのに良い機会を提供してもくれるわけだが、過度の期待をして良いかはわからない。

 

 

シナモン文鳥=しなもんぶんちょう

 1970年代にオランダで固定化されたといわれる文鳥。有色部分が茶色化しているので、シナモン(ハッカ飴の色を出す香料)と称される。

 日本でも以前から古代文鳥(セピア色で古めかしかったから?)として存在していたようだが固定化はされなかった。公園のドバトにも茶色のものを頻繁に見かけるので、鳥類には茶化はわりにひんぱんに起こるのかもしれない。
 本来一種のアルビノ化、脱色による色彩変化のはずなので、目の色は赤に近いと思われる。ところが最近は交雑が進んだようで、店先のシナモンを見ると何やらあいまいになってきている様子がうかがえる。
 個人的にはセピアとかコハク(琥珀)と呼ぶ方が格好良く思うがどうだろう。

『文鳥学講座』5『文鳥の歴史』

 

獣医=じゅうい

 誠実な名医と、いい加減なヤブ、思いこみでお仕着せる者など、さまざまに存在するらしい。小鳥を扱ってくれる獣医さんはまだ少ない。

 文鳥愛好者としては、小鳥を扱う獣医さんに増えて欲しいところだが、ポリシーで扱わない獣医さんが多かったのかもしれないと思っている。小鳥は小さい生命なので、治療行為が多大の負担となることが多く、また疾病に対する治療法自体が確立しているとは言いがたい。結局治療は延命的なもの以外ではなく、それは一面において苦痛を長引かせるだけともいえる。それならば余計なことをするより、自然治癒力に期待して手出ししないのも、一つの見識に違いない。
 しかし、自分の文鳥が苦しんでいれば、何とかしたいと思うのは当然で、そうした飼主の姿をみれば、何とかしようと努力するのが良心的な獣医さんの当然の姿であろう。また臨床例が増えれば、段々治療法も洗練されていく。
 その位置づけは個人の判断だが、一緒に悩んで相談に乗ってくれる獣医さんに出会えれば幸運であるに違いない。その点事前に捜しておくことを薦める人は多い。それはもっともで、保険制度のない動物治療では人間の場合以上に、やたら検査をしたり薬を出したがったり営業に熱心な病院も多いはずで、また医療従事者には愚かな権威主義者がありがちなので、注意はいく重にも必要となる。
 もっとも、どう考えても病院などの世話にならないのが一番で、一所懸命文鳥を病院づけにしたのでは本末転倒である。飼主側にも安易に獣医さんに任せきりにしないよう自戒が必要であろう。

『文鳥問題』10

 

シルバー文鳥=しるばーぶんちょう

 1980年代にフランスで固定化されたといわれる文鳥。原種文鳥の有色部分が薄くなり、シルバー系になっているのでこのように称される。また色彩がやや濃く、薄青色に見えたりするものはブルー文鳥とも称されており、さらにイザベル文鳥とも呼ばれていたようだ。

 現在では繁殖が難しいとする人もいるようだが、おそらく原種文鳥をもとにつくられた品種なので、頑丈で子育てもうまいものと想像する。個体数が増えると評価も変わってくるに違いない。
 新しい品種でまだ値段も高く、物珍しさが先に立っているようだが、日本人受けしそうな色合いなので、定着し、すぐに値段もぐんと下がるものと思う。
 また、繁殖家の一部には色々なペアリングを試し、結果として生まれた雑種を桜文鳥と称して市場に出しているような気がするのだが、もしそういった行為が事実なら非常に不謹慎なはなしである。

『文鳥の歴史』

 

白文鳥=しろぶんちょう

 純白で目の黒い文鳥。おそらく明治のはじめ頃(1870年代くらい)に愛知県の弥富町でつくりだされた日本産の品種。はくぶんちょう。

 白文鳥は明治・大正期に大ブレイクしたが、その起源には不明な点が多い。主観的な話しや言い伝えはあっても客観的な証拠がない。
 さらに、これほど流布し現在までの長い伝統を有するにも関わらず、遺伝子的な系統が一本化できるのかどうかすらもわからない。日本産の有名な飼鳥なのだから、日本の獣医学関係者などがしっかりと研究してもらいたいと思う。

『文鳥問題』5『文鳥問題』6『文鳥学講座』5『文鳥の歴史』

 

巣材=すざい

 巣作りの材料のこと。パーム椰子やシュロの木を原料にしたものが『巣材』として市販されている。

 昔の飼育書に「シュロの毛」を巣材とするとあったが、シュロの繊維状の外皮は黒く、市販のそれが茶色なのと違う。きっと消毒のし過ぎで脱色しているのだろうと思っていたら、最近の飼育書ではパーム椰子が原料とされている。これはタワシと同じ材料なので納得出来る。
 市販のそれは長過ぎるように思えるが、文鳥はそれを器用に使うので、切ったりせずそのまま与えるべきであろう。また、巣材としてはティッシュペーパーや新聞紙などを細長く切ったものでも良いが、特にティッシュは水分を吸収してしまうので、出来れば避けたい。新聞紙はハサミで切ると切断面が鋭利になって少し危ないので手でむしりたい。 

『文鳥の飼い方育て方』

 

巣離れ=すばなれ

親鳥が何らかの理由で抱卵や育雛を拒否してしまうこと。

 手乗り文鳥の場合、飼主と遊びたがって巣離れすることがあり、非手乗りの場合は、飼主に見られるのを嫌って巣離れしてしまうことが多い。
 手乗りの文鳥が飼主と遊びたがるのは普通なので仕方がないが、非手乗りの場合は出来るだけ干渉しないように飼主が気をつけてやるべきだ。初心者ほどそわそわして世話を焼きたくなるが、産むのは飼主ではないので、文鳥の迷惑にならないようにしなければならない。

『文鳥の飼い方育て方』

 

巣引き=すびき

 ペアリングし、巣を作り、交尾をし、卵を産み、孵化させ、育てること。つまり一連の繁殖行動のこと。

 文鳥は巣引きが難しいという説と、簡単という説がある。ずいぶん個性が豊かなので全く巣引きに適さない個体もかなり存在するようだが、小鳥全般から見れば最も容易に繁殖してくれる種類の一つと言える。
 その点手乗り文鳥の巣引き適性も問題とされるが、これはさらに文鳥の個性の問題で、上手なものも全く駄目なものもいる。

『文鳥の飼い方育て方』

 

育て親=そだておや
 ヒナ用給餌器の商品名。

 手乗り文鳥を飼っている人は、ほとんどお世話になっている。これなしでの給餌は手間がかかること間違いなしなので、非常に助かっていると言える。
 個人的にはプラスチック製ではない方が良いと思っているが、そういった製品はないようだ。

『文鳥の飼い方育て方』

 

素嚢=そのう

 文鳥の首の部分にある透明な袋状の器官で、一時的に餌を貯める。羽毛の生えそろわないヒナの段階では、摂食量の目安になる。

 デリケートな部分なのでくれぐれもさわらにようにしたい。

『文鳥の飼い方育て方』