クリニックの内容と方法

クリニックの内容と方法

内容

楽器そのものの技術の習得は専門の楽器奏者の担当です。バンド・クリニックでは、いかにアンサンブルするか、いかに生き生きとしたサウンドにするかという、いわばアンサンブル力の向上を主眼とします。つまり、今現在の楽器スキルで最大限のポテンシャルを発揮するために可能なことをすべて実現すべく指導にあたります。

いわゆる精神論ではなく、再現可能性の高さが重要だと考えています。したがって、メンバーそれぞれが具体的なノウハウをざっと理解した上で、体感することで身体的に覚えること、経験知として確実に蓄積することが重要だと考えています。

また、日頃のバンドの様子、得意不得意、課題などについて事前にご相談いただければ、可能な限り対処し、また内容や方法について提案いたします。

回数とタイミング

バンドの課題にあわせた回数がよいでしょう。

たとえば、年に数回というような定期的なクリニックをすれば確実なスキルアップにつながりますし、リサイタルやコンテストのような本番直前の集中クリニックというニーズもあることでしょう。

本番直前の場合には、メンバーが改善するために必要な期間がどうしても必要です。以前、実施があまりにも直前過ぎて、不本意ながら、やむを得ずリスクを考えて根本的な指摘をあえてしないという判断をすることもありました。また、過程と結果をきちんと捉えることも必要なので、本番1ヶ月程度前に2週間程度のインターバルを置いて2回のクリニックをおすすめします。

1回の所要時間

レベルやニーズ、普段の練習頻度など、バンドの実態にあわせて決めるのがよいでしょう。

年に数回の定期的なクリニックであれば、1回あたり合奏のみ60-120分で十分な場合もあります。

また、本番直前の集中クリニックでは半日程度、休憩を取りながら、合奏や分奏(パート練習)などしながら丁寧に作り上げていく方法もあります。

見学歓迎

バンド・クリニックは、見学者にとっても第三者的な立場で(つまり自分の技術を棚に上げて?)アンサンブルについて学ぶとてもよい機会です。学校のバンドであれば、本番メンバー以外の下級生は個人練習させるのではなく、ぜひ見学をおすすめしています。

また、卒業生たちの見学も歓迎します。演奏者本人たちは、ちょっとしたアンサンブルの変化や向上に意外と気づかないものです。向上とは、今までのやり方をかえることですから、日頃とは異なる「感覚」に不安や疑問を覚えて当然なのです。卒業生(比較的身近な先輩方)の反応は、変化の方向性の正しさを伝え、また不安の解消にとても重要な後押しにもなることを、私はこれまでの指導経験から感じました。