採譜/イヤートレーニング
イヤー・トレーニングは、コードやスケールの理解のみならず、実際のアンサンブルを行う上で極めて重要なスキルです。採譜(トランスクリプション、いわゆる耳コピ)を手段に学ぶレッスンです。
内容
イヤー・トレーニングは、ソルフェージュのようなこと、あるいはコードやスケールに限るものではありません。ほかにも、次のようなことも扱います。
- アーティキュレーション(アクセントやスタッカートなど)
- リズム・ランゲージ(メロディのアクセントやシンコペーションと拍との関係など)
- アンサンブルにおける各楽器の役割とアイディア
- 2管や3管のアレンジメント
- ソロ
イヤートレーニングの必要性と採譜
いわゆる「味音痴」の料理人に絶妙な味付けは期待できません。同様に、音楽の表現を広げるためにはスキルとしての「聴力」の向上が不可欠です。
スポーツ観戦を考えてみてください。はじめの頃は、ボールの動きばかりに目が行って、ボールから離れたところにいる選手の動き、チームの作戦、ゲームの全体的な流れまでなかなか把握できません。しかし、テレビの解説者の説明や、詳しい人が隣で指さしてくれることで、さらに理解が深まり、観戦がますますおもしろくなったり、自分でもプレイしたくなったりするものです。
ジャズのアンサンブルも同様です。私自身もそうでしたが、音源を一時停止したり巻き戻しや早送りをしながら、誰かに適切にポイントアウトしてもらうことを繰り返すことで、これまで聴いていても聞こえてこなかったさまざまな情報がクリアに聞き取れるようになってきました。
例えば、メロディやソロを演奏するためには、音の長さのコントロール、適切なアーティキュレーションの使い分けが必要です。しかし、CDや実際の演奏を聴いていても、演奏者の音の長さをきちんと捉えたり、適切なアーティキュレーションの使い分けをどこまで捉えているかは、人それぞれです。音楽がどのように聞こえているかは人によって全然異なるにも関わらず、他人がどのように捉えているかを直接知るすべはありませんから、どうしても自分の聞こえ方がすべてだと考えてしまいがちです。
これをチェックするために有効なのは、聞こえたことを譜面にすること、すなわち採譜です。
採譜したものを見れば、その人が音楽をどのくらいの精度で聴いているかがある程度分かります。
自分が聴いた音源を採譜し、それに朱筆を入れてもらって、あらためて音源を聞き返すと、今までと少し聞こえ方が違ってくるはずです。この地道な経験の積み重ねが、聴覚の向上にとって非常に効果的だと私は信じます。
レッスンの方法
レッスンの頻度は月1回程度をおすすめしています。それ以上間隔があいてしまうと、学習効率が落ちると考えるからです。
まず、メールまたは電話で課題曲とレッスンの日程を打ち合わせます。
次に、レッスンの予定日の約10日前までに、課題曲の採譜をメール等で提出していただきます。提出していただいた譜面は、私が朱筆を入れてレッスンの前日までにお返します。
レッスン当日は、実際に課題曲の音源を聴きながら、添削内容についての質問に答えたり、前提となる知識について解説したりしながら進めていきます。
1レッスン90分程度(添削付き)です。課題曲の難易度や採譜の状況によっては1曲の課題曲を数回に分けて行うこともあります。
具体的な課題の例
それぞれの課題に応じて決めます。必ず何らかの音源から採譜することを原則とします(そうしないと効果が期待できません)。
- ソロやメロディフェイクの採譜
- リード・シートの作成(コードやイントロ、エンディングの採譜)
- 2管や3管アレンジの譜面作成
- その他
また、記譜法についての知識もしっかりお伝えいたします。
レッスン料金
1回90分6000円から(曜日や時間帯によって異なります)。添削1回は料金に含まれます。分量や課題曲については、その都度相談の上決めます。頻度は月に1-2回程度。
オンラインレッスンを原則としますが、出張レッスン等も相談に応じます。その場合、交通費やスタジオ代実費をいただく場合があります。